好打者は音が違う。ロッテ今江敏晃内野手(31)が7日、今キャンプ初の特打を行った。40分間、振り続けること153スイング。柵越えは13本だったが「振れるのが分かった」という後半から徐々に力を入れた。ラスト20スイングに限れば柵越え6本のハイペース。低めの球も引っ張り込み、軽々と左翼後方の防球ネットを揺らした。「感触は悪くない」と納得できた。

 立花打撃コーチが注目したのは、打球音だ。「他の若い子が『カーン』なら、今江は『グシャ』。鈍い」とうなった。違いのわけは、下半身にあった。今江は下を使って、ヘッドを返さずにバットを押し込めている。「遅れてバットが出てくる。押し込む分、ボールと接する時間が長いから、音が鈍くなる。小久保の音みたいだね」。指導歴豊富な同コーチは、この日、視察に訪れていた侍ジャパンの監督になぞらえた。0コンマ何秒にも満たない時間差が、今江の音を鈍く、だが、打球は強くしている。

 持てる力は誰もが認める。最大の不安はコンディションだが、オフから体幹を鍛える運動法ピラティスに取り組み、食事も好物のお菓子を控えている。体重はシーズン中と同じ89~90キロを維持。今江は「状態はすごくいいです。上げていくだけ」と自信を持って言った。【古川真弥】