オリックスが変幻自在に動く。オリックス森脇浩司監督(54)が宮崎キャンプの8日、山田久志氏(66=オリックスOB会長、日刊スポーツ評論家)と対談し、19年ぶりの優勝にかける思いを激白した。大補強を成功させたチームではサバイバル競争が激化。走攻守に“動く”をテーマに、森脇イズムを浸透させながら悲願をたぐり寄せる。

 山田氏

 キャンプに大勢のファンが集まったのは、チームに刺激がある証拠。中島、ブランコ、小谷野、バリントンら大補強で注目度NO・1。チームはぜひ昨季の経験を生かしたいね。

 森脇監督

 長丁場で選手層、ボリュームは欠かすことのできない条件。でも昨季を戦った選手の成長が補強の陰であまりクローズアップされていない。補強した選手が去年2月にいたら明らかに定位置にはめ込んだ。でも去年タフに戦って得たものは大きい。大いに競争させたいです。

 山田氏

 駿太や安達、またT-岡田らを見極めながら新戦力と融合していきたいということですね。

 森脇監督

 チーム、個人にメリットがあるから動かすんです。小谷野の守備力、中島も意欲的に動こうとしているし、現時点でショートにはめることもできると思っています。彼が遊撃に入れば2段、3段構えのバリエーションになって競争も激化する。安達も1年ずっと出られると思ったら大間違い。(打順でも)糸井の1番もありといったのは周囲は3番糸井、4番ブランコ…と考えるでしょうが、打者と走者で崩していく妙味があるから。投打に過敏な時期こそ動きが必要です。

 山田氏

 投打とも前面に押し出すこともできるが守る野球をやっても負けない陣容。無理に攻めなくても、この場面は1点を取りにいこうとか、作戦が見えてくると選手は戸惑わない。失点を防いでいったチームがペナントをとる。打ちまくっての優勝は数少ない。

 森脇監督

 最終的にはバッテリーを含めた守りと機動力というより走塁力。昨年通用したかもしれないが今年は違うかも。そこを謙虚に取り組んでいきます。

 山田氏

 上位、下位が入れ替わるのはパ・リーグの怖さと面白さ。性急だけど“2強”といわれるソフトバンクをどうみてますか?

 森脇監督

 ホークスの戦力が抜けていたのを、昨季は2厘差までもっていった。阪神淡路大震災から20年の節目でもあるし、モチベーションを高める材料がそろっています。大いに我々に風は吹いている。流れは我々にあることを有利に考えたい。絶対独走させるわけにはいかないし、他球団も警戒していきます。

 山田氏

 監督が自信をもてば、いざという時にぶれない。昨季後半戦は、優勝を勝ちとる、1つのアウト、1球を投げる…その難しさを体験した。100試合過ぎてからの経験は財産。それが必ずどこかで生きてくるし、生かさないと。チームが変わりかけているときはスタートが大事。問題は劣勢のときにだれが打破していくか。

 森脇監督

 昨年坂口、今年は(糸井)嘉男がキャプテンです。でも、それぞれが中心選手で、中島も、小谷野もリーダーです。キャリアのある選手が引っ張る。その背中をみて若手が台頭していく。レギュラーといわれる中心選手の意識とレベルの向上をひたすら求めます。

 山田氏

 今年は、オリックスを倒そうと他球団も立ち向かってくる。それをはね返していかないと。そのためにはガードを固めること。守りの安定感は攻撃につながる。頂上にいくにはど突かれたり、蹴飛ばされたりして、もうアカンいうところから、ひと踏ん張りしたチームがたどり着く。

 森脇監督

 何かが壁になろうが、優勝という目標から目を切らない姿勢が強固になっている。いかなる困難がきても、岩に直面しても、その岩にツメをさし、めり込ませてもずり落ちないファイティングスピリットを持っているという自信はあります。【取材・構成=寺尾博和編集委員、大池和幸】

 ◆昨季終盤のパ・リーグV争い

 9月に入ってソフトバンクが抜け出し、16日の時点で2位オリックスに4・5差をつけた。ところが同月残り10試合で、1勝9敗と大失速。オリックスはこの間7勝6敗で、ソフトバンクとはゲーム差0に。10月2日の1、2位直接対決は延長10回ソフトバンクが2-1でサヨナラ勝ち。土壇場で力尽きたオリックスの選手たちは、ベンチで悔し涙に暮れた。