メモリアルイヤーの虎1号は、注目ルーキーがかっ飛ばした。ドラフト3位の江越大賀外野手(21=駒大)が9日、沖縄・宜野座キャンプのシート打撃で左中間へ本塁打。実戦形式でのチーム1号は、12球団の新人初弾や。走攻守でノリノリな男は、1番打者で出場濃厚な明日11日の練習試合・日本ハム戦(名護)へスタンバイ完了。球団創設80周年の今季、この男から目が離せない。
逆境で腹をくくった。2打席凡退後、江越は第3打席もカウントは1-2と追い込まれた。「自分の持ち味を出そう。三振してもいい」。脳裏によぎったボールに合わせにいく考えを消し去り、勝負の1球に集中した。次の瞬間だ。打球は左中間スタンドを目指して一直線に進んでいた。
「シートでは自分の持ち味を出そうと思った。1本とりあえず出たことは自信にしてやっていきたい」
1歩ずつ進んできた開幕1軍への道。マウンド上には江夏臨時コーチが今キャンプで絶賛していた左腕島本がいた。1度目の対戦となった第2打席は左飛に打ち取られた。第1打席は歳内の前に三ゴロに倒れていた。試されている立場で欲しいのは結果。それでも、自分の長所を信じた。139キロ内角直球に体をクルリ。強烈なライナーが左中間スタンドにたどり着くと、宜野座のファンはダイヤモンドを1周するまで拍手で祝い続けた。実戦形式でのチーム第1号は、ルーキーのぶれない覚悟が生み出していた。
「僕はミスショットが多い。1球で仕留めることを目指してやっていきたい」
衝撃の1発を放っても、また反省だ。打席以外でも勉強を怠らない。この日の先生は鳥谷と福留。実績十分の大先輩は、それぞれファーストスイングで若手投手を沈めた。変化球への対応をテーマに臨む明日11日の日本ハム戦は1番で先発予定。積極性が持ち味とあって、いかに甘い球を仕留めるかがカギになる。新しい宿題ができた。
「まずは開幕1軍を目指して多くの試合に出られるようにやっていきたい」
明確に見据えた3・27開幕戦。対戦する中日井本スコアラーに「得意ゾーンに来れば力強い打撃をする。梅野みたいなパンチ力」と特長を植え付けた。長打力自慢の梅野は昨季、ベテラン勢の捕手陣に食い込み1年通して1軍に同行した。江越はそんな成功例に続けと、マートン、大和、福留に続く外野4番手を狙う。
12球団新人野手で実戦最速となる1号でもあった。球団創設80周年でメモリアルVを目指す虎の実戦初弾。大物感がプンプン漂う新星が、まもなく他球団へお披露目される。【松本航】<近年の主な阪神新人野手のキャンプ実戦1号>
◆04年鳥谷
2月22日の紅白戦(安芸)で、杉山から初回先頭打者本塁打。右翼防球ネットを越す140メートル級特大プロ1号となった。
◆12年伊藤隼
実戦での本塁打はなかった。2月3日にフリー打撃での柵越えを放った際、巨人村田スコアラーは「シャープに打ってくるタイプ」と評した。
◆14年梅野
2月15日の紅白戦で、宜野座球場のバックスクリーン右横に豪快な一撃。「ボールに食らいついていこうと思った」。



