「野性味」あふれる猛打ショーだった。13日、巨人の紅白戦が行われ、サブメンバー中心の紅組が、25安打21得点の猛攻でアピールに成功した。紅組の攻撃は6回で強制終了するほどの猛打。打者一巡が3度、7選手がマルチ安打を達成し、6選手が猛打賞を記録する大爆発だった。原辰徳監督(56)は「どちらかというと紅組はサブプレーヤー中心だが、いいアピールをしていますね」と評価した。

 Hランプのオンパレードだった。2回、口火を切ったのは4番大田だった。3-1からの5球目をフルスイング。強風にも乗って、弾丸ライナーで左翼フェンスに直撃した。このイニング2打席目ではコンパクトに中前へ。大砲候補の一打から、打者11人の攻撃で一挙6点を挙げた。5回には三塁への内野安打を放ち、3安打猛打賞。前日12日の紅白戦の先制打に続き、4番起用に結果で応えた。

 名付けるなら、まさに「新成打線」だった。1、2番でコンビを組み、ともに猛打賞の中井と藤村は25歳。24歳の橋本も3安打をマークした。新加入組の堂上、金城もマルチ安打で存在感をアピール。生え抜き組の若武者と新加入組の力を融合させた。強風が吹き荒れ、2軍選手を中心に構成された投手陣には酷な条件ともいえるが、裏を返せば打者陣の野性味が体現された。

 キーワードに掲げる「野性味」の成果だった。キャンプ前、原監督は「人に頼るのではなくて。自立できるか、が野性の本質だと思う」と言った。160キロの打撃マシン、選手個々に任される早出練習と居残り練習。監督の目指す野性味たっぷりの鍛錬を日々重ねる。中井、藤村は言った。「全力でアピールするだけなんで」。弱肉強食のレギュラー争いを野性の本性で奪い取る。【久保賢吾】