スッキリサイン、こっそりチェンジ!?

 阪神能見篤史投手(32)が10日、西宮市内の球団事務所で3度目の契約交渉に臨み、4500万円増の年俸1億円でサインした。クリアした投球回200イニングの評価が争点だったが、前回提示から上積みなしでも納得の更改。極秘のモデルチェンジをほのめかし、エースの活躍を誓った。(金額は推定)

 3度目は、予想外のスピード交渉だった。能見が20分足らずで会見場に現れた。自費キャンプも辞さない強硬姿勢を見せていたが、当初の提示条件から上積みなしの年俸1億円でサインした。

 「納得した部分はあった。僕の主張も言わせてもらった。球団からも理解してもらった。溝はなかったが、お互いに話して、納得した」

 争点となった200イニングの価値も、球団側からの説明で理解した。10年シーズンは8勝無敗ながら、故障離脱で投球回数が少なかったことから、昇給を勝ち取れなかった。昨季は自身初の大台をクリア。エース格として胸を張っての交渉だったが、思い描くほど投球回を評価されなかった。しかし時間をかけて、球団首脳から説明を受け、気持ちの整理はついた。

 「選手としての意見は言わせてもらった」。査定方法の見直しを求めることなく、正面から考えをぶつけたことで、難航した交渉に自ら終止符を打った。12年は真のエースへの成長が求められるシーズンになる。変化を問われると、不敵に笑った。

 「求められるものも高くなる。準備しないといけない。自主トレやキャンプを見ていたら、分かると思う。それを見つけるのも(記者の)仕事でしょ?

 何かは絶対に言わないよ。オレが損するから」

 フォームのマイナーチェンジか?

 魔球の習得か?

 極秘のモデルチェンジを宣言した。

 契約の争点となった200イニングへのこだわりも、あっさりと捨てた。「それは目標にしていない。個人の目標は設定しない。悔しい思いをずっと心の中に持っている。それをぶつけていきたい」。勝利を何よりも最優先に置き、ニュー能見が和田阪神の大黒柱になる。【田口真一郎】