<オープン戦:大学日本代表2-5イースタン混成>◇27日◇内海・島岡ボールパーク

 今秋ドラフトで巨人が1位指名を表明している最速157キロ右腕、東海大・菅野智之投手(4年=東海大相模)が、貫禄ある投球を見せた。日米大学野球選手権を控える大学日本代表は27日、東京・府中市でイースタン・リーグ混成チームと練習試合で対戦。8回に5番手で登板した菅野は、巨人大田に直球勝負を仕掛けるなど堂々の投球で2回1失点で2三振を奪った。

 あこがれの舞台が待ちきれなかったのだろう。菅野は最速148キロと、本調子からはほど遠かった。プロ相手に3度目の対戦で初めて失点も喫した。それでも試合後には笑顔が弾んだ。「力の差は感じませんでした。来年あそこ(プロ)でプレーするのが楽しみになりました」。来季から飛び込むプロへの強い思いを、あらためて深めた。

 会場の内海・島岡ボールパークのスタンドに陣取った日米13球団の編成担当やスカウトは50人以上。その目の前で、適応能力の高さを見せた。試合球は、今年からプロで使用されている統一球だった。プロの投手も「滑る」と対応に苦心している代物だ。初めて手にした球を投じながら「フォークが面白い変化をするんです。揺れる。今後も試していきたい」。その軌道と変化を、目と指先の感覚で確認する余裕すらあった。ボールの縫い目の高さも低いが、それもメリットととらえた。「高いとツメが割れちゃうんです。ツメに優しいボールですね」と冗談を交えた。

 待ち望んでいた対決で、気持ちの強さも見せた。東海大相模の先輩である巨人田中大、後輩の大田との対戦だ。単独大学とプロとのオープン戦が解禁になった3月、巨人の2軍と戦う予定だったが、震災の影響で中止。4カ月越しの念願が実現した。8回1死満塁で対峙(たいじ)した1学年後輩の大田には、4球すべて直球を投じた。左翼へ犠飛を打たれたが「キャッチャーを呼んで、全部インコース真っすぐで行くと言ったんです」。豊富な球種を用いず、力勝負を満喫した。

 1学年上の田中大には変化球を多投し、完全に抑えにいった。9回の先頭で空振り三振に倒れた田中大は「ストレートがあまり来なかったけど、スライダー、フォーク、すべてが一級品。プロで対戦したくはないですね」。大田は「(調子の)いい日に打席に立たなくてよかった」と舌を巻いた。かつてともに汗を流し、プロの1軍を経験している2人とは対照的に「楽しめて投げられた」と、菅野には最後まで余裕があった。【清水智彦】