<東都大学野球:青学大4-0東洋大>◇第3週2日目◇19日◇神宮

 青学大のスーパールーキー、DHの吉田正尚(まさたか、1年=敦賀気比)が3打点をマークし、東洋大に雪辱。4回の先制2点適時打など4打数3安打。開幕から5試合で18打数9安打の打率5割を誇り、首位打者争いに名乗りを上げた。

 これが1年生か。青学大・吉田正は4回1死満塁、左投手を物ともせず、119キロのスライダーを中前にはじき返した。2点先制。すると6回1死二塁では、地面すれすれのフォークをうまく拾って3点目を入れた。東洋大の3投手から3安打。河原井正雄監督(57)は「初戦の駒大戦でフォークに2三振してたんだけど。すぐに対応できちゃうのがすごい」と称賛した。

 2日連続の3安打で、通算18打数9安打7打点1本塁打。打率は5割に及ぶ。「中軸が打てなかったとき、カバーするのが6番の役割なので」と満足げだ。プロの一流選手で150キロを超えるというスイング速度は、148キロ。河原井監督以来の1年春首位打者を「狙いたい。新人王も取りたいです」と貪欲だ。高校通算52本塁打の長打力も魅力で、史上初の1年生3冠王も射程圏内にある。

 当然、高校時代からプロの注目を集めた。しかし「3年生でスランプになって。それなら大学で結果を出して、上位でプロにいきたいと思いました」と進学を決意。本職の左翼は主将の井上がいるため「1年から出るにはDHしかない」とオープン戦から打力をアピールしまくった。

 好調をキープできるのには、もう1つ秘密があった。文字通り“球がよく見えていた”のだ。実は吉田正の視力は両目で0・6。上京後、コンタクトで1・5に矯正した。「視界が明るくなりました。今日もこれから目の検査です」。眼科へと去っていった吉田正には、シーズン後タイトルホルダーとなる自分の姿もよく見えている。【鎌田良美】

 ◆吉田正尚(よしだ・まさたか)1993年(平5)7月15日生まれ、福井市出身。小1で野球を始める。足羽中時代は鯖江ボーイズに所属し外野手、捕手としてプレー。敦賀気比では1年春からレギュラーで、同夏から4番。甲子園は1年夏が2回戦敗退、2年春に8強入り。高校通算52本塁打。青学大ではDHだが、本職は左翼。172センチ、73キロ。右投げ左打ち。

 ◆東都の1年生打撃タイトル

 1年春の首位打者は過去3人。中大・加藤正二(34年)、日大・佐々木和美(67年)、青学大・河原井正雄(73年)がいる。1年秋の獲得者には、今季から中大を指揮する秋田秀幸監督(74年)らがいる。また93年春には、東洋大・今岡誠(現ロッテ)が1年生史上初の3冠王を狙い、首位打者は逃したが4本塁打15打点で2冠に輝いた。