<東都大学野球:東洋大3-2青学大>◇第3週最終日◇20日◇神宮

 昨夏甲子園8強の東洋大・原樹理投手(1年=東洋大姫路)が、リーグ戦初勝利を挙げた。1点を追う7回2死一、二塁から登板。1人の走者も出さず、2回1/3を完全に抑えた。これで東洋大は青学大に2勝1敗で勝ち点1とし、春6連覇へ望みをつないだ。

 投げ足らんと言わんばかりに、原はありったけの力を込めた。9回2死。前日まで打率5割の青学大・吉田正に全球直球勝負を挑むと、2球目でこの日最速となった143キロをマークした。最後は141キロで空振り三振に切った。2回1/3を無安打3奪三振。登板直後に味方が勝ち越して、思わぬ初勝利を得た。「今季は1勝が目標だった。クリアできてよかったです」。りりしい表情のまま、高橋昭雄監督(63)の握手に応えた。

 昨夏、東洋大姫路を甲子園8強に導いた右腕は、プロ志望届を出せば上位指名されていた逸材。絶対的エース藤岡(現ロッテ)の抜けた同大で、高橋監督が「新しいスター」と期待を寄せる。その証しが背番号「28」。元西武の松沼博久氏(59)雅之氏(55)兄弟も背負ったそれは、将来のエース格に与えられてきた。

 新人離れした言動には、大物感が漂う。初登板だった中大との開幕戦。15回無死三塁で「三振取ってこい」という監督の指示に首を振った。自ら満塁策を選びサヨナラ負けしたが、同監督は「1年で監督に逆らうなんてね。大きくなるなと思ったよ」と感服した。

 それはこの日も同じで、8回にはマウンドに4年生捕手・岡を呼び寄せ「もう少し外に構えてもらえませんか」と注文を付けた。「マウンドに立ったら、1年生だろうがみんな同じですから」と実にクールだ。少々ナマイキ?

 な大物ルーキーを、先輩たちも歓迎している。【鎌田良美】