<全日本大学野球選手権:東農大北海道7-3道都大>◇11日◇1回戦◇神宮

 東農大北海道(北海道学生)が道都大(札幌学生)を破り、大会史上初の北海道対決を制して2年ぶりの全国勝利を飾った。3回裏に2番池沢佑介捕手兼内野手(3年=武相)の左越え適時二塁打で先制。3点リードの7回に同点とされたが、8回に敵失や押し出しなど5四死球を絡めて4点を奪った。昨秋の明治神宮大会代表決定戦で敗れた雪辱を果たした。今日12日の2回戦でシード校の天理大(阪神)と対戦する。

 東農大北海道が3時間16分に及んだ雨中の激戦を制し、昨秋のリベンジを果たした。ナインは笑顔で整列し、神宮1勝の余韻に浸った。3回に先制の適時二塁打を放ち、ヒーローインタビューに指名された池沢は「チームの勝利のことだけを考えて打った」と胸を張った。山城明久主将(4年=沖縄水産)は「北海道同士で、とにかく勝ちたかった。昨年秋に負けて悔しかったので」と喜んだ。

 道都大は3年連続の全日本出場。簡単には勝たせてくれなかった。7回に3点差を一気に追い付かれた。同点打は二塁塁審に当たって内野安打となり、試合の流れは相手に傾きかけた。樋越勉監督(56)は「あれはツイてなかった。昨日、何か悪いことでもしたかなと思った」と苦笑い。それでも「逆にこちらが奮起した」と8回には制球難につけ込み、勝ち越しに成功して意地を見せた。

 「打倒・道都大」を目標に掲げ、神宮に乗り込んだ。秋の明治神宮切符を奪われた借りは、全国舞台で返した。「道都大との対戦が決まった後は、何度もミーティングをして研究を重ねた」と山城主将。「道内では負けない」と全勝優勝を狙った今春リーグ戦では、旭川大を相手に1敗した。2季連続22度目のリーグ制覇も悔しさが残った。そんなこともチームの闘志に火をつけていた。

 今日12日は97年以来16年ぶりの8強進出を懸け、天理大との2回戦に挑む。樋越監督は「これで本当の北海道代表になった。負けられない」と意気込み、ひとつの大きなヤマを越えた達成感に浸りながら、足取り軽やかに球場を後にした。【保坂果那】