あす12日開幕の仙台6大学野球春季リーグで、仙台大の松本桃太郎内野手(2年=北海)がライバル校を“退治”する。昨秋リーグで、1年生として史上初の打撃3冠を獲得。チームは3位に甘んじたが、29年ぶりとなる優勝チーム以外からのMVPに輝いた。今春は昨秋の2番から4番に座り、主砲として初の全日本大学選手権(6月、明治神宮球場ほか)出場を狙う。

 仙台大の若武者、松本が春季リーグ初制覇に乗り出す。昨秋は打率4割7分7厘、17打点、3本塁打でMVPを獲得。史上初の1年生4冠に輝いた。チームメートから「桃太郎侍」などと形容されている松本は「結構いじられてますが、プレッシャーも不安もありません」。気負いなく、リーグ開幕を見据えている。

 昨秋の活躍が評価され、今季4番に抜てきされた。森本吉謙監督(40)は「野球に対する取り組みや考え方がしっかりしている。ずぶとさが持ち味。特に去年から変える必要はないだろう」と見守っている。

 「(打撃は)自分の感覚でやっている」という天才肌。「タイミングが合えば絶対に打てる。それがすべてです」と言い切る。相手投手から厳しいマークを受けるのは覚悟の上だ。バットを立てるようにコンパクトに振り切り、内角球にも対応する。「バットの芯とボールがくっついている時間が長いほど、遠くに飛ぶんです」。主砲としての技術も追求する。

 現在の体重は76キロ。食が細く太らない体質だが、食事回数を増やすことで昨年から4キロアップさせた。「おなかがすいたら食べるようにしている。軽く振っても飛ぶし、強いボールも投げられるようになった」とパワーアップを実感している。昨秋、個人タイトルを総なめにして、今季狙うのは「神宮出場」だけだ。「選球眼を大事にして、打点にはこだわっていきたい」。仙台の桃太郎が、自らのバットで全国に名乗りをあげる。【佐々木雄高】

 ◆松本桃太郎(まつもと・ももたろう)1994年(平6)11月11日、北海道岩見沢市生まれ。岩見沢中央小3年から野球を始める。中学3年時には、札幌新琴似シニアの三塁手として全国準優勝。北海高では1年秋からベンチ入り。甲子園には一塁手で2年春夏(11年)連続出場し春8強。仙台大では1年春からレギュラー入り。家族は両親、兄、妹、弟。右投げ左打ち。175センチ、76キロ。血液型A。