<仙台6大学野球:東北学院大8-3仙台大>◇第6節最終日◇19日◇東北福祉大野球場

 東北学院大が仙台大の優勝を阻止した。3-3で延長タイブレーク(1死満塁から攻撃)に入り、10回表に三瓶将大外野手(4年)ら仙台育英出身の4選手が後輩の仙台大・馬場皐輔投手(1年)から5得点。3連投の守護神・加藤裕樹(4年=角田)が無失点で締めくくり、2勝1敗とした。勝ち点を4に伸ばし、24日からの最終節で東北福祉大から勝ち点を挙げれば12年秋以来3季ぶり、春は8年ぶりの優勝と全日本大学選手権出場が決まる。

 目の前で優勝を決めさせるわけにはいかない。10回表の攻撃には東北学院大の意地が込められていた。菅井徳雄監督(57)は「ハートが強い」と1番の三瓶を先頭に指名。マウンドの仙台大・馬場に4人続けて仙台育英の先輩をぶつける作戦をとった。

 狙いは的中した。1死満塁から三瓶が死球でまず1点。高橋勇樹内野手(3年)が二ゴロで三塁走者をかえし、3番嵯峨日明捕手(4年)の中前タイムリーで2点。4番井上信志内野手(4年)がダメ押しの右前打で計5点をもぎ取った。三瓶は「本当にいいピッチャー。かわいい後輩だけど向かって行く気持ちだった」。タイブレーク初経験の馬場に4人の先輩が大学野球の厳しさを教えた。

 同門対決の裏で170センチ、88キロの“あんこ形守護神”加藤裕がきっちり仕事をこなした。8回1死一、二塁で登板し9回まで1安打無失点。10回裏も冷静にスライダーで先頭打者を二ゴロ併殺に仕留め、勝負を決めた。1、2戦とも2番手で無安打無失点。加藤裕は「今日は流れを変えられた」と自信たっぷりに話した。

 角田高までは内野手兼投手。入学後は「木製バットは手がしびれる」という消極的な理由で投手に専念した。菅井監督に「制球が間違いない」とリリーフに抜てきされて3年春にデビュー以来、先発は1度もなく中継ぎ、抑え専門。昨秋の東北福祉大戦では終盤に登板して2連敗し「ああいう思いはしたくない」と冬場にタイヤ押しや苦手な走り込みを重ねて安定感が増し、今季は5戦11回2/3を投げ防御率0・00。チームを支える存在に成長した。

 優勝に王手をかけられてから連勝し、逆転で勝ち点を挙げた。菅井監督も「今日の試合でチームがレベルアップした」と優勝への手応えを感じている。最終節で宿敵東北福祉大から勝ち点を奪えば、06年以来の春の王座が手に入る。【高場泉穂】

 ◆優勝の行方

 24日からの最終節で東北学院大が東北福祉大から勝ち点を奪えば優勝が決まる。東北福祉大は連勝すれば優勝だが、2勝1敗の場合は東北学院大、仙台大と9勝3敗で並び、3校でプレーオフが行われる。27日から3日間の総当たり制。優勝争いがプレーオフに持ち込まれたことは過去にない。