社会人からプロへ-。東京6大学野球の早大、小野田俊介外野手(4年=早実、旭川東光中出)が来春、社会人野球の強豪、東京ガス入りする。リーグ現役最多13本塁打を放つ右のスラッガーは、昨年11月の右膝十字靱帯(じんたい)再建手術の影響で今秋のプロ志望届提出を断念。78年の日本選手権で準優勝もある社会人野球の名門から、2年後のドラフト指名を目指す。

 プロの複数球団が注目した東京6大学現役最強スラッガーが選んだ進路は、社会人の東京ガスだった。早大の小野田は今月上旬、同社の内定式に出席し、覚悟は決まった。「ケガのこともありましたし、プロでやるにはまだ自信がもてませんでした。(大学より)もう1ランク高い社会人野球でやってから(プロに)挑戦します」と、ふっきれた表情を浮かべた。

 昨年の秋季リーグ戦直前に行われたオープン戦の外野守備で味方と交錯した。右膝十字靱帯(じんたい)断裂。「膝がずれるような感覚」(小野田)のままテーピングで固定してリーグ戦に出場したが、終了後の11月にメスを入れた。

 リハビリは膝の曲げ伸ばしから。歩けば激痛が走った。術後3カ月で走れる程度まで回復したが、今春のオープン戦は2打席の出場に終わった。「(術後)5カ月半で出場できましたが、春のリーグ戦はボールを見るのが精いっぱいでした」。打率3割を超えたが、1試合終わるたびに患部が熱を持ち、プロへの思いに影を落とした。

 旭川市出身で、甲子園で優勝した日本ハム斎藤にあこがれ早実に進学した。夏の東京で頭がボーッとし「旭川に帰りたくなった」と笑うが、大学でも背中を追った。同じチームでのプレー経験はないが「いつか同じ舞台でプレーしたい」という思いは変わらない。

 早大の岡村猛監督(59)は「ボールを遠くに飛ばせる先天的な魅力があるし、早慶戦のような大舞台で強い。何かを持っている選手。最後のリーグ戦で個人タイトルを取ってほしい」と期待を寄せる。21日現在の打率4割5厘はリーグトップ、打点11もトップタイだ。残りは11月1日からの早慶戦。「打点にこだわって打席に入りたい」。タイトルホルダーの称号を手に、社会人への1歩を踏み出す。【中島洋尚】

 ◆小野田俊介(おのだ・しゅんすけ)1992年(平4)10月15日、旭川市生まれ。旭川千代田小2年から旭川千代田イーグルスで野球を始める。旭川東光中時代は旭川北稜シニア所属。3年時はシニア日本代表の投手として世界大会(CABA)で3試合2完封。早実高では投手で09年センバツ8強、野手で10年夏の甲子園3回戦進出。早大では全日本大学選手権で優勝した2年春からレギュラー定着。ベストナイン2回。家族は両親と姉、妹、祖母。182センチ、82キロ。右投げ右打ち。

 ◆東京6大学リーグの本塁打記録

 通算最多は94~97年に慶大の高橋由伸が記録した23本。早大では76~79年に岡田彰布が放った20本が最多。小野田の13本は歴代15位タイで早大では7番目。なお13本塁打以上の選手は過去16人いるが、そのうちプロ入りしなかった選手は4人(ドラフト指名後の拒否含む)。

 ◆東京ガス野球部

 1927年(昭2)創部。都市対抗野球は17回出場、最高成績は81年4強。日本選手権は7回出場、78年の準優勝が最高。主なOBに巨人の内海哲也投手、片岡治大内野手、楽天美馬学投手、ロッテ石川歩投手ら。グラウンド所在地は東京都大田区大森東3。