ソフトバンクから1位指名を受けた巽真悟(21=近大)が「石井一型フォーム」で開幕投手争いへ割り込む。1日に大阪市内のホテルで契約金1億円プラス出来高5000万円、年俸1500万円の最高条件で仮契約を結んだ。最速149キロの即戦力右腕は開幕ローテーション入りだけでなく、開幕投手についても「競争になれば誰にも負けたくない」と意欲をみせた。球威アップをめざし、まずは西武石井一久(35)を参考にフォーム改造に取り組む。

 口を開けば開くほど、熱い闘志がにじんだ。クールな顔立ちとは裏腹に、巽が大きな野望をのぞかせた。「開幕1軍は当然の目標。誰かがケガしたからではなく、最初から(先発の)チャンスを与えてもらえるところにいたい」と開幕ローテ入りを掲げた。さらに話題が開幕投手争いに“飛躍”しても「競争になれば誰にも負けたくない」と臆(おく)せず言い切った。

 もし仮に新人開幕投手となればホークスでは58年の杉浦以来51年ぶりとなる歴史的快挙になる。途方もない挑戦だと分かっていても、自他ともに認める負けず嫌いの血が騒いだ。近大の榎本監督は「瞬間湯沸かし器のような負けん気」と評する。昨年12月、大学日本代表候補合宿に参加した右腕は、50メートル走で必死の形相になった。後輩が5秒8台を出したのを見て意地になり、5秒74をマーク。続いて国際武道大の柴田(阪神ドラフト2位)に5秒69で上回られると「もう1回!」と志願。榎本監督があわてて止めに入ったという。

 壮大な挑戦へ、まずはフォーム改造に着手した。3年春には関西学生リーグ新記録の1試合23奪三振をマーク、防御率1・13で最優秀選手に輝いたが、今年に入ると投球時の重心移動が乱れて球威が出ず、今秋は防御率2・88。有終Vも逃した。ドラフト後にプロ野球中継を凝視し「いい投手ほど(投球開始時に)前に突っ込まず後ろへ重心が残る」とヒントを得た。

 特に目を引いたのが西武を日本一に導いた石井一だ。右ひじにひざがつくほどの高さまで上げる右足に注目。左右の違いはあるが、日米148勝のベテランを手本に巽も左足を腰より高く上げることで後方に重心をためて突っ込みを矯正。まだ立ち投げの段階ながら「見違えるほど(球威が)変わってきた」と手応え十分だ。今後はさらなる球威向上を目指し、現在67キロの体重を増量する計画も思案中。「球団から高い評価を受けたので、結果で応えたい」。狙うは来季開幕早々の恩返しだ。【太田尚樹】