日本ハム栗山英樹監督(51)の熱く、純粋な思いは、ストレートに大谷の胸を打った。26日、花巻東のチームカラーである紫色のネクタイを締めて交渉に臨んだ指揮官は「自分の思いを、魂の部分を、言葉にして伝えさせていただきました」と話した。「すべてぶつけた?」と聞かれ「はい、ぶつけました。伝わった実感はある」。約1時間の交渉のうち、大半の時間は同監督の声が部屋に響いていた。

 日本ハムへ入団させるための説得ではなく、一野球人として、メジャーで活躍するためにどうするべきかを説いた。「今日は監督というよりも解説者だったね」。スポーツキャスター時代に取材した、数々の日本人メジャーリーガーの経験などを惜しみなく伝えた。

 パイオニアになった野茂英雄や斎藤隆、巨人在籍時からメジャー行きのために準備を進めていた高橋尚成の話など、具体的なエピソードは18歳青年の心に響いた。「環境が違うから。(大谷のような)ああいう選手はなかなか出てこないからね。(米国で)日本の選手ってすごいなと思ってもらうために、日本の球団(で経験を積むの)も1つの方法」。メジャーの一線級で活躍するために、日本球界でプロとしての土台を築いてから、挑戦することのメリットを伝えた。

 取材を通して面識のあった大谷とは、まだ2年生だった昨年以来の直接会談だった。「印象は全然変わらなかった。少し大きくなったかな」。恋人と久々の再会を果たしたかのように、栗山監督の目は輝いた。「ウチの選手たちは、みんないいやつらだから。そこでやらせてあげたい。(過去の選手も)メジャーに上がっても苦しんだ。(そうならないための)肉体的なものなど、準備する状況をつくってあげたい」。指揮官の頭の中にはすでに、来季ともに戦う青写真が描かれていた。【本間翼】