野球人もやっぱり「歯が命」。巨人からドラフト4位の国学院大・田中大輝投手(22)が29日、神奈川・横浜市内の同大学で指名あいさつを受けた。憧れの世界に入る喜びをかみしめる一方で、「父も母も歯科技工士なんです。昔から歯のことについてはうるさく言われてまして」と自慢の歯並びの良さを強調する。

 父圭介さん(52)と母教子(のりこ)さん(50)が歯科技工士、姉小春さん(24)は歯科衛生士という歯のエキスパート一家。父の仕事を継ぐ話もあったが、小4から始めた野球で勝負すると決めた。

 幼少時から歯の英才教育を受けていた。「歯のかむ位置で筋肉反射が違う。マウスピースで下顎の位置を矯正したり、歯磨きの仕方も口うるさく言いましたね」(圭介さん)。歯と歯の間にティッシュを挟み、どこの部分に一番力がかかっているのか、かみ合わせのチェックも日常的に行った。1日3回の歯磨きはお気に入りの軟らかめのブラシで、1回に約5分かけてケアしてきた。

 本業も折り紙付きだ。182センチ、76キロ。左腕からのスリークオーターは、最速144キロ。キレ味抜群のスライダー、今年習得したツーシームも武器だ。今秋の東都リーグでは左肩を故障したため登板機会はなく、現在もノースロー。ジャイアンツ球場で田中について聞かれた原監督は「肩の故障がなければ、2位ぐらいで指名されていたんじゃないか」とあらためて太鼓判を押した。来季のリーグ4連覇へ向けて、投手陣の“かみ合わせ”に必要な「ピース」がそろった。【栗田尚樹】

 ◆歯と野球

 巨人では、井端と村田がプレー時にマウスピースを着用する。主にパワー増強のためと言われがちだが、専門家によれば個々の歯並びの形に合ったマウスピースを用いることで、最適なかみ合わせに整え、動的なバランスを生み出すアイテムだという。白い歯が売りだった元日本ハムの新庄は、現役当時に歯並びを矯正。かみ合わせが不十分で調子を崩したことで施術した。ソフトバンク王球団会長は、スイング時に奥歯に力を入れすぎて、歯がすり切れたという逸話を持つ。