阪神のベテラン下柳剛投手(41)と矢野輝弘捕手(40)が来季契約の下交渉で大幅減俸を提示されたことが18日、明らかになった。野球協約で定められる減額制限(年俸が1億円を超えている場合は40%)を超えて50%、1億円に近い大幅減を提示された模様だ。球団は5年ぶりのBクラスとなる4位に終わった現実から、国内選手合計で12球団トップの高額年俸の見直しに着手。チーム最年長のベテランバッテリーが厳冬にさらされる。

 下柳と矢野が、1億円ダウンに迫る大幅減俸を提示されている。今季は下柳が2年契約の2年目で、矢野は単年契約。ともに本領を発揮できないまま不本意なシーズンを終えた。球団は野球協約に定められた減額制限を超える大幅減俸を決め、すでに下交渉で本人サイドに通告していることが分かった。

 今季の推定年俸は下柳が1億9000万円で矢野が2億円。制限内いっぱいでも8000万円近い減額となるが、下交渉での提示額はそれを上回り、1億円に近い減額だった。

 減額制限を超える減俸の場合、プロ野球選手会と機構側の取り決めで日本シリーズ終了までに本人に告げなければならない。球団首脳は下交渉の有無に関して口を閉ざしながらも「成績が下がっている部分、年齢的な面も考慮しないといけない」と説明。チーム全体の査定ポイントを考慮した上で、大幅減俸やむなしの結論に至った。

 過去にもベテラン選手が故障に見舞われるなどした際に年俸が大幅ダウンとなるケースはあった。阪神の場合、これまでの貢献度や若手への影響なども勘案し、出来高払いの幅を持たせるなど救済策を講じていた。ただ矢野の場合、今オフの補強で正捕手候補の城島が入団するだけに、立場はさらに厳しくなる。

 矢野は自身のホームページで9日付で心境を告白。「この何週間か、これまでに無いぐらい悩みました。城島選手入団の持つ意味は僕も理解しているつもりです。でも僕のやる事は何も変わりません。自分が試合に出るための努力、試合で結果を出すための準備を精いっぱいやっていきます」と前向きにつづった。シビアな減俸、ライバルの加入という現実を見つめ、41歳で迎える来季に気持ちを高めている。

 また、2人と同年齢の金本知憲外野手も、制限範囲内ながら減俸を免れない状況にある。坂井オーナーはこれまでに「功労者への配慮は必要だが、一般論で言えば4位という結果は、チームで受け止めないといけない」と話している。高額年俸のベテランたちに、冬の厳しい風が吹く。