ソフトバンク和田毅投手(29)が大幅昇給に加え、球団が導入を目指す新査定でも完全勝利を勝ち取った。今季17勝でMVPに輝いた和田は11日、契約交渉に臨み、1億2000万円増の来季年俸3億3000万円で更改。「サインしました。(3億円は)超えました。評価をしっかりしてくれた」と納得の表情。それもそのはず。最多勝左腕らしく、もう1つの勝負で白星を挙げたからだった。

 「新査定を改善できた。球団は査定(ポイント)だけで評価していないと、はっきり言った。それはボクだけのことではなく、選手全員とも言っていた」

 2時間に及んだ超ロング交渉。一時は決裂寸前まで行った。テーマは新査定。流れが変わったのは、和田の一言だったという。

 新査定表が置かれたテーブルの向かい側には、小林至取締役(42)がいた。和田が来季17勝を挙げてもMVPを獲得しなければ年俸ダウンとなったり、不慮の故障に対して不透明な扱いになっていることを不満として、和田は「じゃあ、保留します」とキッパリ。次の瞬間、新査定表が机の上から外され、同取締役は「評価はこれ(査定ポイント)だけじゃない」。和田は「ボクだけのことじゃないですよね」とたたみかけた。同取締役は「選手全員に対してのこと」と約束したという。

 この日で事実上、シーズン成績や数字を重視し、積み上げ方式で年俸反映するとした新査定は崩壊。和田は「何度も本当ですねと確認したし、そうだと言っていた。進展になると信じている」と完勝宣言だ。

 「細川さんも入団したし、今年は8敗したので限りなく(負け数を)低くする。日本一になる」

 8敗のうち4敗した対西武でも細川FA入団が追い風。“銭闘”で負けなかった背番号21が、来季は無敗を目標に掲げてみせた。