インタビュー
自分のペース、自分のスタイルで/05年夏インタビュー
--元気そうだね
ダルビッシュ 「はい! 元気ですよ。日ハムの雰囲気にはすぐ慣れたし、楽しいですよ」
--何をやっている時が一番楽しい?
ダルビッシュ 「終わった後、先輩の部屋で話したりするのが楽しいですね。あとは、練習が伸び伸びしているのでやりやすいです」
--自分がプロ野球選手になった実感はある?
ダルビッシュ 「環境的にはプロなんだなーって思うんですけど、先輩たちや、周りのスタッフ、コーチの方々がとっても楽しくて和やかなので、ホンマにプロ野球選手かな? と思うくらい。だから、僕も毎日を楽しんで野球ができるんだと思います」
--もう自分の性格は出している?
ダルビッシュ 「面倒臭がりな性格は出していますよ(笑)、最初から。普通に高校の時と同じマイペースでやっています」
--自主トレから痛めていた右ヒザの関節炎はもう完治した?
ダルビッシュ 「はい! 3月くらいから段々痛みがとれて、もう大丈夫です。腹筋とか、そういう練習ばかりで、しっかりと投げ始めたのは4月の終わりくらいですね」
--初登板が5月5日。回復は早かった?
ダルビッシュ 「そうですね。投げられるようになって、もとの状態に戻るのが早かったですね。順調に調子が戻ってきています。まだ、どうしても調子のいいときと悪いときの差が出てしまいますけどね」
--いいときと悪いときの差って?
ダルビッシュ 「ボール半分のコントロールがつけられるときと、できない日があるんです」
--レベルの高いプロではそれが致命的になるよね?
ダルビッシュ 「そうですね。これから、少しずつ調整していこうと思っています」
--それにしても、かなりハードな練習をしているとか?
ダルビッシュ 「そうなんですよ! めっちゃ走らされています。東北の時よりも走ってますよ(笑)。登板の2日後のメニューがしんどい! 300メートルを走って、次は50メートル。これを6セットも走らされるんです。しかもコーチは、若いんだから大丈夫だ! って(笑)」
--だいぶその成果は出てきた?
ダルビッシュ 「まだ分かりませんね。走ったから球が速くなるのはないと思うんですけど、体力がついてくると思いますね。あと、フォームも、1からしっかり作っていこうと思っているんです。まずは高校時代に戻して。そこから新たな力をつけようと試みています」
--どういう方法で練習している?
ダルビッシュ 「投げ始め2週間~3週間は、注意されたことや、フォームの形などを忘れないようにノートに絵で書いていましたよ」
--絵はうまい?
ダルビッシュ 「うまくないですね~(笑)。まだその図解は見てないですけど、いつか役にたつことがあればいいですね」
--今の日本ハムの投手陣を見ていて、自分の役割を感じる?
ダルビッシュ 「まだわかりません。他の人の練習の邪魔をしないように、その中で盗んだりしています」
--その中で盗んだことは?
ダルビッシュ 「まだ、ないですけど、今後そういうふうにできたらいいですね。1軍に上がったからには、先輩たちのピッチングをじっくり見たいと思います」
--5月31日、イースタンの楽天戦では、先発11奪三振で初完封勝利を果たしましたね。
ダルビッシュ 「序盤は、力みがあってダメだったんです。でも、途中から力みが抜けて自分のペースで投げられましたね」
--有君の高校時代のバロメーターは変化球で抑えられることだったけど、この日は?
ダルビッシュ 「はい、変化球をうまく使って、ストレートで抑えたって感じです。この日はMAX143キロ。良かったですよ」
--印象に残る対戦は?
ダルビッシュ 「平石陽介さんとの対戦かな」
--98年の甲子園は見ていた?
ダルビッシュ 「いや、ほとんど見ていないですけど、聞いて知っていたので。あぁ、この人がPLのキャプテンだった人か、って思いましたね」
--この試合で何か手ごたえはあった?
ダルビッシュ 「高校の時は肩が痛かったから、納得のいく球を投げられなかったけど、今は肩が痛くないので、それだけでいいですね。この調子で、レベルアップできれば変わってくると思いますよ」
--これまでも変化球主体でと言っていたけど、変わらない?
ダルビッシュ 「そうですね。高校の時と違ってストレートで空振りが取れるようになったので、球威がついたと思います」
--手ごたえがある?
ダルビッシュ 「これまでは、完全試合をしても必ず課題は1つ、2つありましたからね。肩が痛くないだけに腕が思い切って振れるからいいですよ」
--プロの手ごたえは?
ダルビッシュ 「まだ分からないですね。それに、今はプロだからと意識することなく投げられる。それがいいんだと思います」
--自分のペースで野球ができている?
ダルビッシュ 「そうですね。高校時代は、腹筋とちょっと走り込みをすれば調子が戻っていた。でも、今は細かくメニュを考えてくださる。その通りやって、その中で自分のペースを作ってやるようにしています」
--さて。今、あらためて振り返って高校時代の楽しかった思い出というと?
ダルビッシュ 「寮でみんなで話しをしたり風呂に入ったり。その思い出のほうが大きいです。真壁(=賢守・東北福祉大)ともよく遊んだなぁ。楽しい思い出ですね」
--でも、高校でいい成績を残して。キャプテンもやって。いい経験だった?
ダルビッシュ 「そうですね。最後にはチームが1つになれた感じがしました。キャプテンもいい経験でした」
--今に生きている?
ダルビッシュ 「やっている時はしんどかったけど、今思えばやってよかったと思います」
--甲子園の思い出というと?
ダルビッシュ 「2年の夏。先輩たちが最後の夏に、決勝で負けたことが悔しかったですね。それだけが悔しい思い出。あとは、負けた試合でも全部、内容で満足しています」
--これからは、高校での経験をプロ野球で生かしていかなくてはなりませんね。
ダルビッシュ 「この日ハムのノビノビとした環境が好き。ここで、悔いのない野球人生を送りたいです」
--これからは1軍での活躍が楽しみです。
ダルビッシュ 「でも、周りをあまり意識せずに、自分のやるべきことをやらないと前には進めない。自分のペースでやりたいと思います」
--西武の涌井君と投げ合うこともあるかもね。
ダルビッシュ 「ワクは多分、1失点で抑えても勝てないけど、おれはやたら失点しても勝ちますよ(笑)! 自分は意識しないけど、いいところ見せたいとか思うんでしょうね、ワクは(笑)」
--投げ勝つ?
ダルビッシュ 「とりあえず勝たないといけないので、チームの雰囲気や流れを崩さないようにやりたいと思います。それが自分のスタイルですからね」
(日刊スポーツ出版社「輝け甲子園の星」05年夏季号から)
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