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インタビュー

目標は無理やり見つけるものじゃない/05年冬インタビュー

--ルーキーイヤー、終わった瞬間の気持ちは?

ダルビッシュ 「ウーン、とりあえず“仕事”が終わったかな、という感じ」

--完全燃焼? それとも不満が残る1年でしたか?

ダルビッシュ 「実質、働いたのが途中(6月に1軍昇格)からですから、完全燃焼ではなかったですね」

--1年間を振り返って一番苦しかった時期は?

ダルビッシュ 「なかったですね。全然! 普通に過ごしてきました」

--6月27日(対西武戦)に2勝目を挙げたあとは8月19日(対オリックス戦)まで2カ月近く勝ち星に恵まれない時期もありましたが辛くなかった?

ダルビッシュ 「全然、ハイ、なんも思わなかったですね。ただ、とにかく自分はマウンドで頑張るんだという思いだけでした」

--では、いちばん充実感を得られて、自分のピッチングに手応えを感じられた時期は?

ダルビッシュ 「それもないですね。一定のペースで普通に過ごすのが僕のスタイルだと思うんで、できることをコツコツとやってきただけです」

--結果によって気持ちがダウンしたり、逆に調子に乗って地に足がつかないことなどはないのですか?

ダルビッシュ 「ないですね。試合の内容も、実はあまり振り返りません(苦笑)。次の試合のことを考えるくらいですね。もちろん負ければ、そりゃぁ悔しいんですよ。でもピッチャーである以上、ヒットは必ず打たれるわけだし、勝つか負けるかどちらしかないですから」

--悔しくて眠れないことは?

ダルビッシュ 「ないですね(笑)。引きずらないし、感情には左右されないほうだと思います」

--今シーズン5勝という成績に関して自分ではどう評価していますか?

ダルビッシュ 「うーん、もうちょっと勝てたかな~とは思いますね…」

--その「もうちょっと」を達成できなかったのは何が原因?

ダルビッシュ 「運とか…かな。ただ自分でいちばん心配していた体力的な面は、6月からずっと同じくらいの登板間隔で、何の問題もなかったので大丈夫なんじゃないかと自信を持つことができました。プロの登板のために特に何か準備をしたというわけじゃないので、高校時代みたいに短期間にガーっと試合が詰まっているより、プロのように自分のペースで練習できて、先発投手だったら1シーズン、同じ登板間隔で投げられるほうが僕には合っていたんじゃないかと思います。疲れもあまり感じませんでしたから。治療もあまりした記憶がないんです。ただ、シーズン中も登板日の合間にトレーニングをしっかりやろうと心がけてましたね。マシンを使った筋トレはもちろんなんですけど、自分で考えたメニューも…」

--自分で?

ダルビッシュ 「ハイ、トレーニングをしているときに“もっとココの筋肉を鍛えたいな”って思うと、それにはこういう動きが効くんじゃないか…って考えて試してました。チームのメニュー以外でも自分で必要だと思ったことは加えてますね」

--ピッチング内容に関しては?

ダルビッシュ 「シーズン通してコントロールもよくなかったし、ストレートもあまり走っていませんでしたね。調子自体は良くなかったです。合格点をつけられるような内容ではなかったですね」

--原因は?

ダルビッシュ 「高校時代に痛めた肩の影響ですね。まだ思い切り腕が振れないというところがあって、コントロールも球威も自分で納得できるレベルまで戻っていません」

--今後、どうやって戻していこうと思ってますか?

ダルビッシュ 「12月中旬から体作りも含めて、練習を始めたいと思ってます。秋季キャンプで痛めたひざも、今はもう全然大丈夫です。普通に動けます。あとは来年の春キャンプを迎えるまでに肩さえ壊さないように…。体調が万全なら大丈夫だと思います」

--話はさかのぼりますけど、さっき「プロは自分のペースでできる」って言ってましたね?

ダルビッシュ 「はい、プロはチームで決められたメニューにしても、それは最低限で、それ以外にどれだけ自分がやるかという世界。やり方も自由です。もちろん、やらなければ置いていかれるし、でも最低限のことをやっていれば、あとは自分に任されてる部分があるじゃないですか。そういう意味ではやりやすいです。僕には居心地がいい」

--自分に任されているぶん、結果で判断されます。逆に厳しいのでは?

ダルビッシュ 「はい。普段は自由で、試合になったら自分の力を最大に出さなアカン。じゃないとやっていけない世界ですね。高校野球だと周りがカバーしてくれるけど、プロは1人で乗り越えなきゃいけない。でも試合の勝敗の責任を背負ってるという、ヘンなプレッシャーは感じませんでした。むしろ、こっちのほうが自分にはいいなぁって、合っていると思います」

--プロに入って、14試合に登板したことで新しく見つかった課題は?

ダルビッシュ 「まだ見つかっていませんね。じっくり考えれば出てくるんでしょうけど、今はまだ今シーズンを振り返る気持ちにはなれないというか…。まずは今年1年を普通に終わらせて、そのあと来年のことを考えようかなぁと」

--印象に残っている試合は?

ダルビッシュ 「自分が投げた試合は全部、印象に残ってますね」

--対戦する打者や、投げ合うピッチャーは誰だろうと気にならない?

ダルビッシュ 「ならないですね。だってその選手だけ意識して、そのほかの選手全員に負けたり、打たれたりするのは嫌だから」

--高校時代まではどのチームも「打倒ダルビッシュ投手」で向かってきましたが?

ダルビッシュ 「さすがにプロでは、自分がそんなに特別視されてるっていう印象はなかったですね」

--松坂投手と投げ合った試合(6月27日)のあと、ダルビッシュ君について「素晴らしい投手だ」って誉めていました。球界を代表するピッチャーにそう評価されるのはどんな気持ち?

ダルビッシュ 「そうなんですか? そんな風に言っていただいてたことは全然知りませんでした。初めて知りました。うれしいですね。シーズンが終わった直後にあった東西対抗と、ベストプレーヤーマッチでお会いしたんです。自分、新人でまだ顔見知りの選手が少なくて、居場所がなかったんですけど、そんなときに松坂さんのほうから話しかけてくださって嬉しかったですね。シーズン中にも中嶋聡選手を通じて話をしたことがあったんですけどいい人ですね。投手としてだけじゃなく人間的にも素晴らしい人だと思いました」

--ピッチングについてのアドバイスはもらいましたか?

ダルビッシュ 「それはないですね。どんな話をしたか細かくは覚えていないんですけど、野球の話はしませんでした。でも、ホント穏やかで優しい、いい人だなぁという印象でした」

--最後に来シーズンの目標を…と聞きたいところなんですが、ダルビッシュ君は「目標」を立てない人なんですよね?(笑)

ダルビッシュ 「はい。だって目標を立てても、立てたからやる気を起こるというわけじゃないし(笑)。自分で口にした目標に縛られるのもヘンやから、それよりはいつも自然に、好きなように野球をしたいという気持ちなんです。中学のときからずっとこんな感じです」

--目標に向かってガムシャラにやることはカッコ悪い?

ダルビッシュ 「そういうわけじゃないんです。人がやってる分にはいいんですけど、たぶん自分には合わないだろうなぁって」

--確かに、ダルビッシュ君が目標に向かってなりふり構わず頑張る姿って想像したら違和感があるかも(笑)。

ダルビッシュ 「ハハハ(笑)。自分でも、らしくないかなって思いますよ。実は取材でいろんな人に聞かれたときには“来年の目標は来年になったら立てます”って言ってるんです…。でも、たぶん来年になっても何も目標は立てていないと思います(笑)」

--(笑)その方針はずっと変わらず?

ダルビッシュ 「そうですね。高校時代も甲子園に行きたいからっていう理由で野球を続けてきたんじゃないし、もちろん甲子園に行くために東北高校を選んだわけじゃなかったから…。最終目標はあくまでプロで、そのために練習してきましたから。今になって思えば“プロへ行きたい”って思ったのが僕の一生にただひとつの目標だったのかもしれないですね。それが叶ったので、次は無理やり目標を見つけるんじゃなくて、いつも自然に、普通に、今できることを精いっぱいやっていきたいと思います」

(日刊スポーツ出版社「輝け甲子園の星」05年冬季号から)



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