<WBC:日本1-3プエルトリコ>◇17日(日本時間18日)◇準決勝◇米サンフランシスコAT&Tパーク

 侍打線はメジャー最強捕手、Y・モリーナの前に屈した。7回終了時点で散発3安打で無得点。4番阿部は「久しぶりにいいピッチャーとやった感じ。格が違った」と完敗を認めた。先発のM・サンティアゴは昨季韓国SKで6勝に終わり、現在はドジャース傘下の3Aチームに所属する。マイナーレベルの投手を一流投手に仕立て上げたのは、女房役の技だった。

 モリーナはカージナルスで08年から5年連続ゴールドグラブ賞を受賞。1人1人の打者、日本ベンチをマスク越しに観察し、巧みなリードを繰り広げた。立浪打撃コーチは「今日はレフトから風が吹いていて、大半は右打者のイン、左のアウトを攻めていた。その中で右に外角、左に内角をうまく攻めて…。配球の裏、裏をかいて見事。リードが素晴らしく、頭のいい捕手だった」と脱帽するしかなかった。

 象徴的なシーンは1点を追う5回裏1死一、二塁。8番稲葉は内寄り低めチェンジアップで、9番松田は外角スライダーで空振り三振に仕留められた。この日のAT&Tパークは左翼から逆風が吹いていた。左打者には外攻め、右打者には内攻めの傾向を一時的に利用され、好機を逃した。

 ボーンズ投手コーチは「2日間研究した。日本のキーマンは阿部と中田。最後は外角の変化球を振らせようと作戦を立てた。あとはモリーナに任せたよ」と胸を張った。2人は長打警戒の網にかかり、阿部が4打数無安打、中田は3打数無安打。2打数2三振の稲葉は「申し訳ない気持ちでいっぱい」とうなだれた。

 制球力のあるサンティアゴ相手に好球必打を狙った結果、モリーナに逆手を取られ、ムービングボールの前に13アウトのうち8個を内野ゴロで奪われた。メジャーNO・1強肩の前に足攻めも封じられた。2次ラウンド1試合平均10得点の打線が6安打1得点。大会7戦で7通り組まれた「日替わり打線」は、名捕手との戦いに敗れた。【佐井陽介】