米国行きへ、パワーがあふれ出す。侍ジャパンの藤浪晋太郎投手(22)が13日、休日を返上して、東京ドームで調整した。第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の2次ラウンドは、今日14日のキューバ戦と15日イスラエル戦がいずれも落とせない決戦となった。4時間46分の熱戦を制した12日オランダ戦でもスタンバイしていた藤浪は、2戦とも臨戦態勢で米国切符をつかみにいく。

 来るべきマウンドに向け、藤浪はしっかり汗をかいた。打球音が響きわたる東京ドームに「何も言われなかったので、出てきました」と休日を返上した。キャッチボール、遠投の後、ショートダッシュを繰り返した。チームは前夜のオランダ戦で延長11回、タイブレークで勝利をおさめた。史上まれに見る激戦を、藤浪はモチベーションに変えていた。

 「あれだけチームが1つになって戦うというのは、なかなかない。いい経験をさせてもらっています。次の自分の登板にも、いいモチベーションで入れると思う」

 前夜はブルペン待機のメンバーでは岡田とともに出番がなかった。だが、権藤投手コーチは「タイブレークが続いていくようなら、投げてもらっていた」と明かした。藤浪は試合後、アイシングもしており、延長が続けば登板の可能性が高かったこともうかがい知れる。

 結果的に登板機会こそなかったが、得たものは大きかった。リードされても追いすがるオランダ打線。その前に立ちはだかり、力を合わせた投手陣。一丸となって突き放した攻撃。体を張ってアウトを奪いにいった守備。熱い戦いを目に焼き付け、肌で感じていた。ためたパワーは、次回の登板機会で、米国行きには落とすことの出来ない大一番で、発揮する。

 1次ラウンドでの登板は10日の中国戦。すでに突破が決まっていた状況で、4点リードの4回から2番手で登板した。2回を投げて無安打無失点に封じた。2四死球を与えたが、4奪三振とKの山を築いた。慣れない中継ぎ待機が続くが、コンディションは「そこそこじゃないですかね」とクール。次回登板に向けても「変わらないです。準備するだけなんで」とかわした。キューバかイスラエルか、どちらにしても力勝負が求められる2次ラウンドの相手に、若さと余力ある藤浪の最大の武器が、さく裂する。