夏巡業が近づいてきた。開催は23日間。23日には22日間の秋巡業も発表された。その後は九州場所の番付発表と過密日程が続き、移動で毎日何時間もバスに揺られるなど腰痛を訴える力士も少なくない。そこで「段ボール」が悩み解消に一役買うかもしれない。

 場所前の6月、境川親方(元小結両国)と熊本出身力士らが熊本の被災地を慰問。避難所で子どもたちと相撲を取るなど交流した。そこで発見したのが、段ボール製の簡易ベッドだ。中に段ボールを1枚はさんだみかん箱大の箱を数個つなげるだけで、15分ほどで完成し、解体も可能。境川親方は「軽いし持ち運びもできる。腰の痛い力士にはいいんじゃないか。利用価値がある」と、作り方を熱心に尋ねたという。巡業先の支度部屋は床に座ることが多く、まげを結う時の姿勢も楽ではない。腰痛持ちで、折り畳み式の台を愛用する佐田の海も「丈夫だし、使えると思う」と話した。

 被害の大きかった益城町を中心に、約5000台の段ボールベッドを提供している大阪・八尾市のJパックス株式会社の担当者によると「強度は平面荷重で8トン。力士が寝ても大丈夫です」。復興に立ち上がる被災地から、逆に教えられることも多い。【桑原亮】