12年ロンドン五輪ボクシングバンタム級銅メダルの清水聡(29=ミキハウス)が18日、紛失していた銅メダルを発見したと明かした。13年3月に都内でのイベント後に紛失し、遺失届と盗難届を原宿署に出していた。それから3年…。発見場所は自宅の衣装箱で、「恥ずかしい。ご心配おかけしました」と謝罪した。イベントから帰宅後に無意識にケースに入れていた。

 発見は今月8日。「やばい…」といったんふたを閉めたという。周囲にかけた迷惑が頭をよぎった。「申し訳ない」と自責の念は強いが、タイミングは絶妙。上位3人がリオデジャネイロ五輪の出場枠を得る3月のアジア・オセアニア五輪予選、その代表を決める国内選考会が25日に待つ。ライト級全日本王者の成松と直接対決する前に、「メダルがなくて引け目を感じていた」という心のつかえが取れた。

 14年11月には、国際連盟(AIBA)が設立したプロ団体(APB)への参加を表明しながら試合に出場しなかったとして、1年間の出場停止処分も受けた。リオへは選考会がラストチャンス。13日には元東洋太平洋バンタム級王者の岩佐とスパーリングも行い、仕上がりは順調。「出てきて良かった」。周囲にかけた迷惑に報いるためにも、負けられない。【阿部健吾】

 ◆清水聡(しみず・さとし)1986年(昭61)3月13日、岡山・総社市生まれ。昭和中3年でボクシングを始め、関西高から駒大へ進学。04年国体バンタム級、07年の国体と全日本選手権フェザー級優勝。08年北京五輪フェザー級代表。12年ロンドン五輪バンタム級銅メダル。リオ五輪はライト級で目指す。左ボクサーファイター。家族は両親と兄。179センチ。

 ◆五輪メダルの紛失 レスリングでは64年東京大会フリー・フライ級金メダリストの吉田義勝がいる。65年3月、日大の卒業式会場の両国・日大講堂に向かう総武線の網棚に置き忘れた。3日後に持ち帰った人物が匿名で返還した。88年ソウル五輪フリー48キロ級金メダルの小林孝至は、同年10月、上野駅の電話ボックス内に置き忘れて紛失。2日後に拾われて無事手元に戻った。