オカダ・カズチカ(28)が、IWGPヘビー級王座を内藤哲也(33)から取り戻した。4月の両国大会で内藤にベルトを奪われてから2カ月。軍団抗争でも、後れを取り続けたが、昨年に続き大阪でベルトを巻いた。主力選手の離脱など、団体の危機に一回り成長し、存在感を示した。

 1年で大きく成長した内藤を、オカダがさらに上回った。最後までもつれたタイトル戦の勝負の行方。内藤のデスティーノか、オカダのレインメーカーか。2人の間を勝利の女神が行き来した。最後に笑ったのはオカダだった。デスティーノを仕掛けようとした相手のスキをついた変形のレインメーカー。連続でたたみかけ、合計3発で試合を決めた。

 「今日の勝利の要因は、IWGP愛ですよ。ボクはこのベルトを愛していますから」と、インタビュールームでしみじみと言った。内藤に邪険にされ、一部破損もしたベルトへの思い。それが、最後まで勝利を求める執念になった。試合後には、珍しくマネジャー役の外道がいないまま、1人でマイクを握った。「父親以上に尊敬する」という外道からの親離れもアピールした。

 今年初めの中邑真輔の離脱に続き、AJスタイルズもWWE入り。大会直前にはエース棚橋も故障欠場。昨年の大阪大会を超満員に導いた四天王のうち、オカダだけが残った。しかし、ふたを開ければ大阪城ホールは今年も超満員。リングサイドで観戦した木谷高明オーナーも「オカダには未来のエースの自覚が出てきた。一番の功労者は内藤だが、オカダは世界を意識して戦ってくれている」と2人の奮闘をたたえた。

 2月には、WWEへの流出危機を想定し、オカダを世界に売り出すプランとして2億円プロジェクトの構想を立ち上げた。IWGP王座の次は、王者のままでのG1優勝を目標に掲げた。それ以上にオカダは団体の期待を背負い、世界を相手に戦っていく。【桝田朗】