【KENTA特別インタビュー2】

 ノアのKENTA(30)が、ジュニアヘビーとヘビーの壁をぶち破って、王座を目指す。今年はヘビー級とジュニアヘビー級の境をなくしたグローバル・リーグ(GL)戦に出場、その後は潮崎豪(29)に挑戦するGHCヘビー級選手権が控える。頂点に上り詰めて、ノアの中心で改革を叫ぶ決意だ。

 3日の仙台大会で開幕のGL戦。KENTAと同じBブロックには、15回防衛して防衛記録を更新した前GHCヘビー級王者・杉浦貴(41)、メジャー3団体のシングル王者全制覇の元王者・佐々木健介(45)、そして今年6月のディファ有明大会で失神KOの屈辱をくらったモハメドヨネ(35)がいる。

 「GL戦に関しては、その先のGHC王座戦も決まっている。見ている人にも期待感があるので、それを落とさない戦いをしたい」と〝勝ち負け〟以上のものを見すえて戦うつもりだ。

 「もちろん、勝てればいい。優勝できれば、それにこしたことはないと思う。でも、連勝していくのは難しい、簡単なことじゃない」と現状を把握する。

 「勝つことよりも、星を落とさないこと。結果よりも、しっかりした内容を残して、GHC王座戦に向けてやっていくことの方が、優先順位が高い。最初は優勝したいと思っていた。でも、それは簡単なことじゃない。しっかりとした内容を残して、けがをせずにGHC王座王座戦を迎えたい」。

 臆病風に吹かれたわけではない。現実を見つけ、着実に結果を残し、ファンを納得させ、王座を手にするまでの道標となる戦いだ。

 現在、81キロ。BL戦参加18選手中、もっとも軽い。ジュニア最強を争うには十分でも、ヘビー級戦線で戦うにはきつい。160キロの吉江豊(37)、130キロの森嶋猛(33)と、スーパーヘビーの選手と戦う可能性もある。

 「もう少し増やすことは考えている。でも100キロとか、100キロオーバーにすることは考えていないし、無理。それより、この体重のまま、どこまで行けるかということ」。

 KENTAの思いを支える戦いがある。先月10日のGHCヘビー級王座挑戦権を賭けた杉浦戦だ。

 「今の自分のままで勝てたのが自信になった。これを、今後の戦いにつなげていきたい」。

 GL戦では、昨年優勝で反体制派ユニット・ノーマーシーの仲間でもある高山善広(45)が「決勝はKENTAと戦う」と宣言した。

 「それが、うちらのチームが団体の中心にいることを表すには最高。勝ち進んでいけば、そうなる。言われなくても、そのつもり。『そっちが、しっかりやれよ』と言うつもり」と笑う。

 心は既にヘビー級を超えた、スーパーヘビー級だ。【小谷野俊哉】