<プロボクシング:WBC世界スーパーバンタム級タイトルマッチ12回戦>◇23日(日本時間24日)◇メキシコ・モンテレイ(アリーナ・モンテレイ)◇観衆約1万2000人
【モンテレイ(メキシコ)=三浦勝夫通信員】王者西岡利晃(32=帝拳)が左ストレート1発KOで、史上2人目の日本人海外防衛を果たした。指名挑戦者で同級2位ジョニー・ゴンザレス(28=メキシコ)と対戦した2度目の防衛戦で、初回に思いもよらぬダウンを喫した。しかし3回、右のフェイントから左ストレートでダウンを奪い返し、1分20秒に逆転TKO勝ちを収めた。日本人の海外防衛戦は7人目だが、成功したのは85年の渡辺二郎以来、24年ぶりの偉業。西岡は34勝(21KO)4敗3分けとなった。
西岡はチョンチョンと右ジャブをついた。一瞬、間をおき、左ストレートが伸びる。アゴにくらったゴンザレスは体をくの字にしてから、ひっくり返った。さらに後頭部をロープ最下段に打ちつけてダウン。失神したかのように動かない。カウント8でうつろな目をして立ち上がるが、再び崩れかかってストップ。鮮やかすぎる1発で、西岡が勝利を奪った。
「もう絶対立てないと思った」という狙い澄ました1発でもあった。「あのパンチは田中トレーナーのミットに1万回は打ったかな」と、満面の笑みで振り返る。左フックが得意な相手に対し、右はフェイントでもけん制の意味がある。そこから得意の左へのコンビネーション。左は初回からクリーンヒットしていた。
01年12月の練習中、左アキレスけんを断裂した。翌年3月に予定していた3度目の世界戦は中止。届きかけていた王座が遠のき、昨年、初挑戦から8年目にして悲願を達成。葛西トレーナーは「ようやく足の不安が完全に消え、また進化している」と話す。ロードワークも十分できることで下半身を強化。その踏み込みが、痛烈な左ストレートをよみがえらせた。
立ち上がりはまさかだった。カウンターの右に尻もちをついた。「左を意識しすぎたが、あれで気持ちが吹っ切れて、逆に前へ出ることできた」。直後も左で反撃し、2回には本来のリズムを取り戻していた。
相手のゴンザレスは地元の人気者。1万2000人の観客はダウンに大騒ぎした。しかし、海外では3戦3KO勝ち、世界王座獲得へ8年を費やした西岡。苦労は確かな経験となり、全く焦ることはない。数分後にはコーナーに駆け上がって喜びを爆発させ、熱狂のメキシカンたちに頭を抱えさせた。
24年前の海外防衛は、渡辺にとって通算10度目の防衛戦で、9位を相手に隣の韓国での開催だった。本場と言える北米大陸では初の防衛成功。「自分の心を鍛える絶好のチャンスだと思って戦った。罵声(ばせい)も僕への歓声だと思って」。そして、「次?
チャンピオンは誰とでも戦う」。スピードキングは力強かった。


