<新日本:大阪大会>◇20日◇大阪府立体育会館◇観衆5800人

 挑戦者棚橋弘至(32)が、45日ぶりにIWGPヘビー級王座を奪回した。王者中西学(42)のパワーに何度も追い詰められながら粘り抜き、31分18秒、ハイフライフロー2連発からの片エビ固めで勝利した。試合後はノアの杉浦貴(38)が乱入し次戦の対戦を要求。歴代3位となる4度目の王座返り咲きを果たした新王者は、受けて立つ考えだ。

 耐えた。王座への欲望が、棚橋の心を支えた。中西のアルゼンチン式背骨折りに体を曲げられること3度。絶体絶命のピンチをはね返し、最後はコーナーポストから連続して飛んだ。「1回、ベルトを巻いた性(さが)ですね。オレはこれにしか興味がないから」。同王座4度目の戴冠は、藤波辰爾(6度)佐々木健介(5度)に次ぎ、天山広吉と並んで3位。「彼女」というベルトを45日ぶりに取り戻し、「お帰り」と優しく抱いた。

 前回5月6日の中西戦で左肋(ろく)軟骨を骨折した。10日間安静する間に、体重は4キロ増。持ち味のスピードを失ったまま、今シリーズに突入した。「スタミナは切れなかった。だてに4回、チャンピオンやってないっすよ」。負傷後は試合前に会場周囲を最低10周ランニング。陰に続けた努力が、最後に実った。

 対戦要求した杉浦の挑戦も「負けん気の強い選手。いつだってやりますよ」と受けて立つ構えだ。13日には業界の大先輩、三沢光晴さんが亡くなった。「プロレスにかかわる人間すべてが、ハッピーになって欲しい。時間はかかるかもしれませんが」。新日本のエースは、プロレスの発展のために戦う。【近間康隆】