反抗期ゼロの「優男」の闘志に火が付いた。WBA世界スーパーバンタム級10位細野悟(26=大橋)が7日横浜市内で、11日の世界戦に向けて練習を公開。同級王者プーンサワット・クラティーンジム(29=タイ)に「怖い相手になっていない」と見下されたことは、「別に…」と受け流したが、この日に王者陣営が視察にすら来なかったことには、さすがにプライドを傷つけられた。

 「逆にいいです。気合が入りますよ」と笑ったが、「なめんなよって感じですね」。いつもの言葉のトーンとは明らかに違った。強打からついた愛称「バズーカ」のイメージとは正反対の性格で、怒りを表すタイプではない。母登美子さん(57)は「口答えも反抗期もなかった」と話し、大橋会長も「怒ったところは見たことがない」というほどだ。

 だが王者のあまりの余裕ぶりに、さすがの細野もカチンと来たのだろう。大橋会長にはテレビカメラの前で「この屈辱をリングでぶつけてくれ」と託された。「右でも左でも倒す。必ずKOで勝ちます」。力を込めすぎて「勝ちます」のところでかんでしまったが、普段は温厚な男こそ、本気で怒った時はこわい。【浜本卓也】