運営会社FEGの経営不振で存続の危機にある立ち技系格闘技K-1が、大規模な構造改革で再スタートする。K-1創設者で正道会館宗師の石井和義氏(58)が、新たな統括組織となる国際K-1連盟(FIKA)を設立することが1日、分かった。多額の負債を抱えるFEGの独占興行を廃止。中国の投資会社の支援を受けて香港に拠点を置く。さらに世界キックボクシング団体協会(WAKO)の加盟団体と協調して個人、団体戦の世界大会を開催する。石井氏は明日3日、パートナー企業とともに中国・北京で発表予定。

 K-1の創始者で興行ライセンスを持つ石井氏は、運営会社FEGの経営不振を踏まえ、組織改革に着手した。国際サッカー連盟をモデルに、K-1の興行権や運営を統括する国際組織として、FIKAを新設。中国投資会社の七星グローバルエンタティメントとパートナー契約を締結し、明日3日の正式発表をもって、香港に本部を立ち上げる。「K-1を従来の格闘技イベントではなく、純粋な世界一を決める競技性を重視したスポーツとして再生させる。世界規模で青少年育成に貢献できる組織にしたい」と石井氏は話す。

 脱税事件で石井氏がK-1の運営から手を引いた03年以降は、FEGが興行を運営してきた。だが、格闘技人気低迷によるスポンサー収入の減少、地上波放送の撤退などで多額の負債を抱え、ファイトマネーの未払いで主力選手が他団体に流出。10月末に中国・南京で開催予定だったWORLD

 GP、今月上旬の甲子園も延期になるなど、存続の危機に直面している。

 これを受けて石井氏はFEGの独占興行の廃止を決断した。今年7月にWAKOと開催協力で基本合意。WAKOに加盟する約110の国や地域団体を中心に、FIKAの下部組織を立ち上げる。ファイトマネーの高騰につながる、従来の選手ごとの契約形式を取りやめ、出場給を一律にし、勝ち上がりによるボーナス制とする。

 来年以降は加盟国での各大会を勝ち抜いた選手による、個人戦と団体戦の世界大会を開催する。来年はライト級(63キロ以下)ミドル級(70キロ以下)ヘビー級(100キロ以下)の3階級で個人戦の世界一を決めるWORLD

 GPを実施。来春の欧州やアジアでの各地区予選を経て、5月から12月にかけて決勝トーナメントが行われる予定。13年には国別団体戦のW杯を開催する予定。

 トップファイターの多くが既存の団体と契約しており、選手確保のハードルは低くない。さらにFEGの多額負債やファイトマネー未払いで、K-1の信頼も揺らいでいる。課題は多いが、石井氏は「国を代表する名誉をかけて参戦してほしい。これからの2、3年で組織の基盤を整えたい」と話す。存続の危機を乗り越えるため、国際スポーツへの道を歩み出す。

 ◆K-1

 空手やキックボクシング、カンフー、拳法などの立ち技系格闘技最強を決める大会として93年に設立。正道会館館長(当時)の石井和義氏がプロデュースし、各競技の頭文字「K」のナンバー「1」を大会名とした。6メートル四方のリングで、パンチ、キック、膝蹴りなど打撃技のみで戦う。03年以降は谷川貞治イベントプロデューサーが代表を務めるFEGが運営し、無差別級王者を決めるWORLD

 GP、中軽量級のMAX、ユース年代の甲子園を開催してきた。