<プロボクシング:WBO世界ウエルター級タイトルマッチ12回戦>◇9日(日本時間10日)◇米ネバダ州ラスベガスMGMグランド・ガーデンアリーナ

 世界6階級制覇王者でWBO世界ウエルター級王者のマニー・パッキャオ(33=フィリピン)が、7年ぶりに敗れた。WBO世界スーパーライト級王者ティモシー・ブラッドリー(28=米国)に1-2の判定負けで、4度目の防衛に失敗した。場内にブーイングが起きるほどの際どい判定だったが、05年3月のエリック・モラレス戦以来の屈辱の黒星。超人と呼ばれるが、最近は衰えを指摘する声もあった。秋に予定する再戦で、復活を証明するしかない。パッキャオの戦績は54勝(38KO)4敗2分け。

 場内のブーイングとは対照的に、パッキャオは淡々としていた。ポイント有利と思われた中、まさかの1-2の判定負け。6階級制覇の超人は苦笑いし、勝者のブラッドリーと抱き合った。微妙な判定があるのもボクシング。「勝ったと思った」と判定に納得はしないが、潔く敗北は認めた。

 パッキャオは攻め込み、要所で得意の左を打ち込んだ。一方のブラッドリーはスピードで攻撃をかわしながらカウンターを狙った。有効打の数はパッキャオだったが、テレビ解説を務めた元WBC世界スーパーライト級王者の浜田剛史氏は「最近はブロックされたパンチもポイントになる」と手数重視のジャッジの傾向を分析した。

 微妙な判定に泣いたが、かつてのような絶対的な強さがなかったのも事実。09年11月以来、KO勝利はない。フィリピンの英雄として10年5月から国会議員も兼職するなど多忙な日々。昨年11月のマルケスとの前戦は判定勝ちも、大苦戦した。この試合に向けては、大好きな酒、夜遊びも控え、ボクシングに集中してきたが、相手を倒しきることはできなかった。

 完全決着をつけるため、両者は11月の再戦に合意。パッキャオは「何をやるべきかは分かっている」と闘志をみなぎらせた。将来的には現在収監中で、不敗の5階級制覇王者フロイド・メイウェザー(35=米国)戦が期待される。総額100億円ともいわれるビッグマッチを実現するためにも、再戦でリベンジし、超人の健在ぶりをアピールする。

 ◆マニー・パッキャオ

 1978年12月17日、フィリピン生まれ。95年1月プロデビュー。98年12月にWBCフライ級王座獲得。その後スーパーバンタム、スーパーフェザー、ライト、ウエルター級の世界王座を獲得。10年11月にはWBC世界スーパーウエルター級王座決定戦を制して、史上2人目の6階級制覇。母国では下院議員。愛称はパックマン。169センチの左ファイター。