負けても牛1頭-。前WBA世界ミニマム級王者の八重樫東(29=大橋)が「いわて牛」1頭を手に入れることが23日、分かった。当初は20日の世界王座統一戦の勝者に与えられる予定だったが、WBC同級王者井岡一翔(23)との熱戦に、スポンサーのいわて門崎丑牧場は両者に牛1頭を贈ることを決めた。
壮絶な打ち合いの死闘に、勝者も敗者もない。勝負に敗れた八重樫は、両目を腫らしながら最後まで前に出た。同牧場の八幡竜徳事業部長は「勝ち負けを超えた試合」と話した。地元岩手は震災からの復興を目指す。「八重樫選手は負けたけど、岩手に勇気と希望を与えてくれた」と感謝を口にした。
いわて牛1頭は約400キロ、値段は約100万円。試合前、八重樫は食べるより飼うことに興味を抱いていた。同牧場も「八重樫牛」として飼育することも視野に入れた。だが、歴史的一戦を終えた八重樫は「減量と試合が終わったので、今は思う存分、食べたい」と、焼き肉食べ放題を希望した。
試合には敗れたものの、テレビ、雑誌の取材は殺到している。師匠の大橋会長は「敗者の反応とは思えない。負けて男を上げた激闘王」と言った。牛1頭の追加は、勝負を超えた熱戦の結果だった。【田口潤】


