WBA世界スーパーフライ級王者の河野公平(32=ワタナベ)が、異例の若手中心スパーリングで闘争心を呼び起こし、王座統一戦に臨む。6日に東京・大田区総合体育館で、同級暫定王者リボリオ・ソリス(31=ベネズエラ)との初防衛戦を控えた4月30日、都内の所属ジムで練習を公開した。高橋智明トレーナー(36)の発案で、粗削りな4回戦ボクサーと数多く拳を交えて原点を思い出し、王座奪取よりも難しいとされる初防衛戦へ、気持ちを高揚させた。

 所属ジムで練習を公開した河野の言葉には、飢餓感にも似た勝利のこだわりがにじみ出た。昨年大みそかに手にしたWBAベルトを自宅のテレビ台に置き「ベルトを見るのが幸せ。毎日勝ちたいと祈っています」と、ソリス撃破に集中していた。もう王座統一戦へのボルテージを上げていた。

 計100ラウンドを超えたスパーリングは、ほぼ4回戦ボクサーと消化してきた。延べ5人の若手を起用し、2人に4ラウンド交代で相手してもらった。世界戦となれば挑戦者は強敵。通常は日本ランカーらを起用してスパーリングを続けるが、河野を担当する高橋トレーナーは「4回戦ボクサーだと粗削りで一生懸命、ガツガツやってくれる。河野は32歳のベテランなので、練習で刺激を与えました」と解説した。

 河野自身も原点回帰したように「もともと自分はセンスがない。人一倍の努力、泥臭いところで勝ちたい。根性や努力で負けたくないんです」と闘争心を燃やした。暫定王者ソリスは昨年4月に初防衛にも成功し、アマでも180勝している経験豊富な強敵。試合にはV2戦以降の対戦候補となる同級2位の亀田大毅(24=亀田)も視察に訪れるなど刺激材料は数多い。

 河野は「試合当日はテレビ中継もあるし、インパクトのある勝ち方、KOで勝ちたい。リングで暫定王者のベルトと自分のベルトの2本巻きたいですね」と、戦闘モードのギラギラした目で大一番を待ち構えていた。【藤中栄二】