<プロボクシング:WBA・WBC世界スーパーウエルター級王座統一戦12回戦>◇14日(日本時間15日)◇米ネバダ州ラスベガス・MGMグランドガーデン・アリーナ

 史上初めて全勝で5階級を制覇したWBA同級スーパー王者フロイド・メイウェザー(36=米国)が、メガファイトを制した。13歳年下のWBA・WBC同級統一王者サウル・アルバレス(23=メキシコ)との無敗対決だったが、持ち前のスピードでペースを握って優位に立ち続け、2-0の判定勝利を挙げた。新旧スターの無敗対決として世界的に大きな注目を集めた一戦だったが、メイウェザーは「時代」を譲らず、さらに存在感をみせつけた。

 判定アナウンスの第一声を耳にしたメイウェザーは眉間にしわを寄せた。ジャッジ1人がドローにしたことに顔をしかめたが、他2人に4ポイント差以上をつけて支持され、2-0の判定勝ちと分かると、当然という表情を浮かべ「オレはジャッジまでコントロールできないから」とジョーク交じりに勝ち誇った。

 メキシコの若き才能と呼ばれる、アルバレスとの無敗対決。世界が注目する大一番は、メイウェザーが完全にコントロールした。序盤は相手にパンチが届かなかったが、3回以降、自らの距離をつかむと、持ち前のスピードで相手の強打をことごとくかわした。逆に左ジャブ、ワンツーをヒットさせ、右ストレートはガードの間をすり抜けて、アルバレスの顔面をとらえた。

 7回には右アッパーで相手をのけぞらせ、8回には面白いようにワンツーがヒットした。ロープ際に追い込まれても簡単にすり抜け、テクニック差も歴然。両者ともにダウンはなかったが、試合終了後、苦悩をにじませるアルバレスとは対照的に自信に満ちた顔だった。セコンドに入ったトレーナーの父メイウェザー・シニアをみつめながら「コーナーで父の話を聞いた。父には素晴らしい戦略があった。それを実行しただけ」と胸を張った。

 152ポンド(約68・9キロ)の契約体重での王座統一戦だった。しかし試合当日は165ポンド(約74・8キロ)まで増量したアルバレスに対し、メイウェザーは150ポンド(約68キロ)と15ポンド(約6・8キロ)差もあった。メイウェザーは「朝は146ポンド(約66・2キロ)だった。シェフに電話して何かを食べなきゃならなかった」と言いながら余裕の笑み。「手ごわい相手だった」とアルバレスをたたえたが、最大の敵だった元6階級制覇王者パッキャオ(フィリピン)が昨年連敗し、ライバルは不在。メイウェザーの時代は、まだ続きそうだ。

 ◆フロイド・メイウェザー

 1977年2月24日、米ミシガン州グランドラピッズ生まれ。96年アトランタ五輪フェザー級で銅メダル。同年にプロ転向、同年10月に2回TKO勝ちデビュー。98年10月にWBC世界スーパーフェザー級王座獲得。その後もライト、スーパーライト、ウエルター級世界王座を獲得。07年5月、デラホーヤを下しWBC世界スーパーウエルター級王座を獲得、史上初めて全勝のまま5階級制覇。08年引退も、09年5月復帰。173センチの右ボクサーファイター。