大相撲の元横綱で格闘家の曙(46)が24日、20日に急逝した北の湖理事長(享年62=本名・小畑敏満)の遺体が安置されている東京・江東区の北の湖部屋を弔問した。30分ほど訪れ「現役からお世話になって、相撲協会を去ったときも理事長でした。先輩横綱であり、まねしたい人だと思っていた」と故人をしのんだ。

 格闘家に転身するため、退職願を直接届けたのは03年11月5日。当時の曙親方は最初「なかなか切り出せなかった」という。それを理事長は「何も隠さず、正直に言ってくれていい」と優しくうながしてくれた。退職願の紙を、胸の内ポケットに入れていた理事長の言葉は、今も覚えている。

 「(6日の)記者会見までしまっているから、気持ちが変わったら、すぐ電話してくれ。そうしたら何もなかったことにする。ほかの道に進むなら、精いっぱい頑張ってほしい」

 協会を去って、しばらくは顔を出せなかった。だが、久しぶりに対面したときは「温かく迎えてくれて、本当にうれしかった」。最後に会ったのは1年ほど前だった。「僕を見かけて『元気か。頑張ってるか』と。寂しいですね」。声を震わせながら感謝していた。

 また、野球評論家の張本勲氏(75)も弔問し「ありがとう。ご苦労さん」と声を掛けた。【今村健人】