大相撲の新横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)が1日、春場所(3月12日初日、エディオンアリーナ大阪)に向けて本格始動した。約40人の報道陣が訪れる中で、これまでと変わらない形で再スタートを切った。18日に地元の茨城県牛久市で行われるパレードと、後援会員のみが参加できる祝賀会の概要も決定。特に新会員の祝賀会参加は直接申し込みのため、プレミアムチケットになるかもしれない。

 「大関」から「横綱」に木札が掛け替わった稽古場で、稀勢の里はじっくり汗を流した。四股やすり足、腰下ろし。基本動作を約1時間かけて丁寧に行った。全体の稽古が終わっても1人、続けた。昇進関連行事の多忙な日々を終えて「ゆっくり休めて体調はだいぶ戻った。じっくりと、けがしない体をつくっていく」と再スタートを切った。

 新横綱の本格始動には約40人の報道陣が集まった。振り向くたびにシャッターも切られる。「見ない顔が多いな」と苦笑いした。

 取り巻く環境は地元でも動いていた。牛久市では優勝から10日間で、郷土後援会の入会希望者が100件以上も増えた。市は18日のパレードを約2万5000人と見込み、直後の祝賀会(先着1000人)では後援会員を最優先にし、続いて牛久市在住の新会員に定員を振り分けた。ただ、その新会員の希望者は8日から、参加費持参の直接申し込みで受け付ける。先着順。いずれも混雑は必至だ。

 そんな周囲の騒がしさを新横綱は「まあ、ありがたいこと」と笑って受け流す。「土俵の上でいい姿を見せるのが仕事。本場所でいかに良い相撲を取れるか、準備していく。特別なことができるわけじゃないから」。気取らず、気張らず。涼しい顔で、動き始めた。【今村健人】