[ 2014年7月6日7時59分

 紙面から ]後半、直接フリーキックでチーム2点目のゴールを決めるダビドルイス<W杯:ブラジル2-1コロンビア>◇準々決勝◇4日◇フォルタレザ

 ブラジルDFダビドルイス(27)が王国を4強に導いた。1-0の後半24分、FKのキッカーとして極限まで集中を高め、右足インサイドでボールの中心を押し出すように蹴る。4人の壁を越えたボールはほとんど回転せず「今までで最高に美しい得点」になった。揺れて落ちるような軌道でゴール右上隅に刺さった。

 ゴール真っ正面、30メートル。何本も練習した距離と位置だった。「まさにこのポイント、という場所を蹴れた。何年も取り組んできたんだ」。ブレ球を見事に制御すると、アフロヘアを振り乱し、コーナーフラッグを蹴って喜びを爆発させた。

 芸術弾のルーツは、かつてのJリーガーにあった。02年にG大阪でプレーした元ブラジル代表MFマルセリーニョは無回転FKの使い手で、ダビドルイスは子どものころ「何度も(マルセリーニョの)ビデオで見て、蹴り方のまねをした」。G大阪でマルセリーニョの同僚だったMF遠藤も「かなり、うまかった。特に、縦に落とすのとアウトにかけるFKの精度が高かった。すごかった」。そのマルセリーニョにダビドルイスは「触発されて」、練習を重ねた。DFながらセレソンのFKを任されるキッカーに成長した。

 チェルシーからパリサンジェルマンに移籍する世界屈指のセンターバック。ユース時代は細身の守備的MFで評価は低く、クラブを転々とした。サンパウロの家族を離れホームシックになり、涙を流した少年だった。それが今、守備でも体を張って母国を勝利に導くヒーローになった。ネイマールとチアゴシウバを欠く準決勝へ、この男への依存度はさらに高まってくる。