NHKの籾井勝人会長が、私的なゴルフで使ったハイヤー代金が局側に請求されていた「公私混同」問題について、NHK監査委員会は19日、ハイヤーの手配や経理処理に関わった秘書室の対応を「ずさんだった」などと指摘した内容の調査結果を、臨時の経営委員会に報告した。

 ハイヤー乗車票には「外務対応業務」と記され、私用であることを識別できる記載はなかったことも、明らかにした。

 報告書は、「秘書室が支払い処理を積極的に申し出ない限り、精算が行われなかった恐れがある」と、今回の事態が表面化しなければ、公私混同が発覚しなかった可能性にも言及した。

 ただ、籾井氏に対する処分などは報告されず、「自身の支払いが完了していないことについて、注意を喚起し、必要に応じ適切な指示を出すべきだった」と、指摘しただけ。今後は「協会は、会長のタクシー、ハイヤー利用のあり方を検討する必要がある」とした上で、「協会が再発防止策を着実に遂行していくかどうか、引き続き注視していく」と結論づけた。

 籾井氏はこれまで「最初から自分で払うと言っていた」と釈明していたが、この発言の真偽は確認されていない。籾井氏が自身で支払うことについて、秘書室内では「合意」ができていた、という。

 委員会側は、昨年1月に籾井氏が就任した後、休日に私的な用事でハイヤーや公用車を使ったことはないと強調した。報道陣から調査内容に関する詳細な説明を求められると答えに詰まり、「報告書に書いている以上のことは言えない」と、繰り返す場面もあった。

 報告書によると、籾井氏は今年1月2日、秘書室に配車依頼したハイヤーを利用し、自宅から東京都小平市のゴルフ場に向かった。代金4万9585円は、いったん、NHKが業者に支払った。内部からの通報を受けて監査委が調査を開始し、籾井氏は3月9日にNHKに代金を支払った。