歌手高橋真梨子(66)が、若かりし頃に憧れたザ・ピーナッツの楽曲をカバーした。歌手を目指して16歳で上京しながら、翌年にスクールメイツの一員として芸能界デビュー。バックで踊りながら背中を見つめた双子姉妹の名曲「明日になれば」を、新カバーアルバム「ClaChic(クラシック)」(5月27日リリース)に収録した。

 約49年前のことだが、高橋は今でも鮮明に覚えていた。

 「あのころ、2人に会うのがすごく楽しみで夢だった。憧れでした」

 1966年(昭41)、17歳でスクールメイツの一員としてデビューした高橋は、同期の森進一、鶴間エリらと有名歌手のバックで踊る日々を過ごしていた。上京した目的はソロ歌手になること。バックコーラス、レオタードを着てのダンス、演技のレッスンを受けることにむなしさを感じていた。「なんでこんなところにいるんだろうって違和感を感じていました」。

 だが、トップスターのピーナッツと同じ空間にいることは幸せだった。踊りながら、息のあった歌唱や手の動きなどに目を奪われた。「すてきだなと見とれていました」。

 「明日になれば」は当時、歌唱レッスン時に何度も歌っていた。

 「大ヒットというわけじゃないけど、すごく好き。後から考えると不倫の歌詞で、女性の複雑な心境を描いていた。当時の思い出として、ぜひ、歌いたいという思いがありました。2人の歌唱は私の頭の中にしっかり残っている。それをコピーではなく、私らしい『明日になれば』として歌いました」

 新アルバムには、59年の「黄昏のビギン」(水原弘)から81年の「夢の途中」(来生たかお)まで、昭和の名曲を収録。それらをゆったりとしたテンポにアレンジした。

 「聴いて心地よいアルバムにするのがコンセプト。年を重ねた人には懐かしく、若い人には新鮮に響くはずです」

 日本のトップボーカリストが自信を見せた。

 ◆ザ・ピーナッツ 伊藤エミと双子の妹ユミで結成した女性デュオ。59年「可愛い花」でデビューし、「恋のバカンス」「ウナ・セラ・ディ東京」「恋のフーガ」など大ヒットを連発。日本テレビ系「シャボン玉ホリデー」や、映画「モスラ」などにも出演した。59年から74年まで16回連続でNHK紅白歌合戦に出場。75年に芸能界を引退。伊藤エミは同年に沢田研二と結婚し、87年に離婚。12年に死去した。

 ◆スクールメイツ 渡辺プロダクションの渡辺美佐氏(現名誉会長)の肝いりで、63年に発足した東京音楽学院の選抜メンバーで結成された。「若いってすばらしい」(67年)などのヒット曲を出す一方、NHK紅白歌合戦などのバックダンサーとしても、女子メンバーのテニスルックでポンポンを持って踊る健康的なスタイルが人気を呼んだ。主な出身者は、キャンディーズ、太田裕美、石川ひとみ、森口博子。男性では、布施明、野口五郎、吉川晃司ら。