漫才師中田カウス(66)ボタン(68)ら吉本興業の所属芸人が20日、大阪・なんばグランド花月や、京都・よしもと祇園花月、東京・神保町花月など全国11カ所の出演劇場で、熊本地震の被災者を支援しようと、募金活動を始めた。

 本拠地なんばグランド花月(NGK)で、昼公演後、募金箱を手に来場客に協力を呼びかけたカウスは「今何が必要なのか。僕たちが大阪でできることは募金しかない」。募金に協力後、帰る客に「ありがとうございます」と丁寧に頭を下げた。

 カウス・ボタンは数カ月前にも熊本で漫才を行い、最近は鹿児島でも仕事を行った。コンビは「熊本のお客さんは帰り際まで見送ってくれて、温かい。九州のお客さんは、ほんとにいいお客さんが多い」。知人やなじみの客の中には熊本、大分など九州出身の人も多く「ほとんど親戚みたいなもんやから」と話した。

 吉本では5年前の東日本大震災の際にも、同じく募金活動をしており、カウスは「今回も、誰からともなく、声が上がった。5年前の東日本のとき、こんなつらい思いはもう2度とごめんやと思ってたけど、またこんなつらいことが…」と沈痛な表情で語った。

 今後、復興が進めば、現地での寄席興行で慰問することも視野に入れているが「まだ早い。まだ芸人としての出番じゃない。大阪にいて今、できることがこれ(募金活動)やから」と話した。

 熊本と吉本といえば、人気キャラクター「くまモン」は、吉本新喜劇への出演をきっかけにブレークした縁がある。これまで何度も新喜劇に出演しており、いまや全国的な人気キャラクターへ成長した。

 カウス、ボタンは「(復興して)また(NGKへくまモンが)来てくれるようになるのが一番やけど、それまで僕らにできる形で支援していきたい」と話していた。

 NGKではこの日、月亭八方、中川家、矢野・兵動の矢野、吉本新喜劇からも出演者が募金活動に参加。吉本によると、今後も無期限で、昼興行の毎公演後、楽屋で芸人同士が声を掛け合い、募金協力を呼びかける活動を行っていく。