東宝「ゴジラ」シリーズの最新作「シン・ゴジラ」(庵野秀明総監督、樋口真嗣監督、29日公開)の完成会見が19日、都内で行われた。東宝製作「ゴジラ」としてシリーズ過去最大規模となる世界100の国と地域で公開されることが発表された。主演の長谷川博己(39)や石原さとみ(29)竹野内豊(45)ら出演者も怪獣王にふさわしいスケールの世界公開を喜んだ。

 初代誕生から62年の時をへて「ゴジラ」が世界の共通語になる。8月12日公開の台湾を皮切りに、フィリピン、マカオ、タイで既に公開日が決定。現段階で公開が決まった国と地域は、全世界でちょうど100に達した。67カ国公開でシリーズ最高だった04年「ゴジラ FINAL WARS」と比べ、その規模は実に1・5倍。長谷川は「ゴジラが世界の怪獣のシンボルであるということ、愛されているということ。そして庵野総監督への期待の表れだと思う」と語った。

 日本では「FINAL WARS」を最後にゴジラ映画は製作を中断した。東宝の山内章弘プロデューサーは「眠らせておくわけにいかなかったが、なかなか始動できなかった」と振り返った。そうした中で14年に、日本でも公開されたハリウッド版「GODZILLA ゴジラ」が、世界で興行収入500億円超のヒットを記録。山内氏は「『本家の日本はどうしたんだ』という声に背中を押された」と復活決断の背景を明かした。

 12年ぶりとなる本家シリーズの新作への期待は世界で高まっていた。キーワードは「アンノ」だった。「『エヴァンゲリオン』のアンノが作るのなら」と完成前にもかかわらず、各国の配給交渉が次々とまとまった。東宝は通常作品より半年以上も早く海外に売り込みをかけたことも功を奏した。庵野総監督もゴジラの目線を「ドット単位(デジタル映像の画素の最小単位)で微調整した」と細部にこだわりまくった。「あの(初代の)衝撃に近づけるには、最初のゴジラと同じことをやるしかない。ゴジラがいない世界に、初めて現れたというふうにしたかった」。完成は公開直前までずれ込んだが、インパクトには自信を見せた。

 公開100の国・地域にはカリブ海に浮かぶリゾート地バルバドスや北東アフリカのジブチのような小国もある。石原は「世界に配給されるというのはすごいこと。ある意味、大きな答えが出たととらえていいんじゃないかと思う」と胸を張った。【森本隆】

 ◆「シン・ゴジラ」 東京湾アクアトンネルが、ごう音とともに崩落する原因不明の事故が発生。首相官邸で緊急会議が開かれ、火山噴火説などが大勢を占める中、矢口蘭堂副首相(長谷川博己)だけが海中の巨大生物である可能性を指摘。そんな中、海上になぞの巨大生物が出現、街を次々と破壊していく。