全2日間取材をした乃木坂46の東京ドームコンサートには、人気の理由が現れていた。それはAKB48のコンサートと比較すると分かりやすい。

 AKB48だと、かつての前田敦子や大島優子ら元祖神セブン、今ならば指原莉乃ら、グループきってのスターをライブでも思い切り引き立たせる、主役に据える傾向が強い。しかも、出演人数は100人以上。おのずとメンバー格差が大きい。これは良しあしではなく、AKBには総選挙などの、常にメンバー同士を競わせる世界観が活動の根幹にあるのも一因だろう。

 一方、乃木坂は、写真集を24万部も売っているグループ1のスーパースター白石麻衣ですら、コンサートでは特別扱いはしていなかった。いちメンバーの1人として、必要以上には目立たせていなかった。このコンサートを最後に卒業する中元日芽香、伊藤万理華も、AKBならば、もっとスポットライトを当てる時間が長かっただろう。

 乃木坂は、可能な限りにメンバー間の平等さを保っていた。その“平和感”が、5万5000人のファンにグループ全体を応援させるという、いわゆる「箱推し(グループ全体のファン)」の雰囲気づくりに役立っていると感じた。

 実際に、ユニット曲という数人だけで歌う曲は数曲にとどめて、大人数で歌う曲をずらりと並べた。AKBならば、このユニットコーナーで、指原や渡辺麻友ら超選抜メンバーがセンターの曲で、もっと個を目立たせる。ファンも「僕はさっしーファン」。「私はまゆゆ推し」といった、通称・単推し(メンバー個人を応援する)ファンが、客席に多い。

 よって、全観客の一体感は、明らかに乃木坂46の方が強かった。これだと、知名度の低い若手メンバーが大スクリーンに映っても、大勢が素直な気持ちで応援できる。多幸感にあふれたコンサート会場だった。

 一方で、このスタイルだと「絶対的エース」といわれる存在や、世間の老若男女にまで認知度がある「スーパースター」が生まれにくい。白石ですら、おじいちゃんおばあちゃんはどこまで知っているだろうかということだ。

 ただ、最も大切なのは、コンサートの来場者たちが満足をして幸せに家路につけるかが、エンターテインメントの基本。AKBのような驚くサプライズ、須藤凜々花の結婚宣言のような社会ニュースになる話題性は起こさないが、一番大事にするべきファンに優しいグループであり続けている。ルックスが清楚(せいそ)でかわいいとかもあるが、この多幸感、平和感こそが、乃木坂の人気が上り坂一途の最大の理由だと感じた。

 さて、そんな乃木坂の中で人気筆頭の白石の魅力についても、先日の資生堂「マキアージュ」のCM会見で発見した。アイドル界屈指の美貌の持ち主。一見、近寄りがたいほど美しいなどと言われるが、実際の本人を取材すると、いつもどこかに親近感を感じさせてきていた。その理由は、いつでも笑顔という部分もあるのだが、トーク時に身ぶり手ぶりが多いタイプだからだった。

 取材相手の目を必ず見て話す。

 話が盛り上がると、自然と手ぶりが出てくる。

 このCM会見では、女性司会者の質問に、全くブリッコではない自然なしぐさとして、首をかしげたりと身ぶりが入っていた。

 美人特有の敷居の高さや気取ったところがない。所属グループ同様に、人気の理由に説得力があった。