沖縄県警に強制執行妨害などの疑いで逮捕された服役中の元タレント羽賀研二容疑者(57=本名・当真美喜男)の逮捕のきっかけが、不動産業を営む被害者のY社長(62)の元に届いた面識のない人物からの1通の手紙だったことが19日、分かった。Y社長が詳細を明かした。

大阪市内のY社長の自宅に手紙が届いたのは16年12月。同年10月にはY社長が羽賀容疑者に計約3億9000万円の返金を求めた訴訟で、大阪地裁が全額支払いを命令。羽賀容疑者が判決を不服として控訴した時期と重なる。

手紙には羽賀容疑者が沖縄県内に所有する不動産物件16物件、さらに1カ月のそれぞれの家賃収入、合計の家賃収入が約340万円と記載されていた。文末には「沖縄県内でも私の周りにだまされた方が多く、警察や弁護士に相談しても立件には難しく、ぜひだまされた人たちのためにも所有物件の差し押さえをしていただき、人間として反省させてあげてください」とメッセージがあった。

この“告発”を元にY社長らが調査すると、記載は事実だったという。Y社長は民事裁判の控訴審でも勝利し、羽賀容疑者の沖縄の不動産の差し押さえをしようと弁護士と手続きに入ったが、名義はすでに変更されていた。

手紙についてY社長は言う。「あの手紙がなかったら今回の逮捕は難しかったかもしれない。おそらく沖縄での被害者は1人だけではないでしょう。被害者の無念の声だと思った」。【松浦隆司】