来年5月11日に東京宝塚劇場で千秋楽を迎える「ラスト・タイクーン-ハリウッドの帝王、不滅の愛-」「TAKARAZUKA∞夢眩」で退団する宝塚歌劇団、花組トップスター蘭寿とむが8日、大阪市内のホテルで会見を開いた。

 「この(劇団生活)18年、たくさんの方に温かく支えられ、応援され、感謝の気持ちでいっぱいです。自分なりの『男役・蘭寿とむ』をまっとうし、最後まで花組生としていいステージを務めたい」。現役5組中、最上級生のトップらしくあいさつした。

 蘭寿は94年、過去最高倍率だった48・25倍の難関を突破し、宝塚音楽学校に首席入学。96年「CAN-CAN」で初舞台を踏んだ。音楽学校時代は1年目の予科生、2年目の本科生、卒業時も首席で、入団後に3回あった試験もすべてトップで通過してきた。

 「音楽学校時代から、ずっと首席でプレッシャーはないの?

 と言われましたけど、それはなかったです。それよりも、いつも自分に足りない物を学ぼうとしてきました。ずっと『次は(首席とは)違うだろ』って思っていましたし。でも、最後(の試験)は『ここまで来たら最後まで』って思ってましたけど」と、笑顔も交え、振り返った。

 入団後、花組に配属され、宙組を経て11年4月、花組に復帰しトップ就任。退団を決意したのは、トップとしての大劇場公演4作目だった、今年2月開幕の「オーシャンズ11」だった。「男役として力が抜けたところで、男役を楽しめる瞬間があり、あ!

 今だな!

 と思いました。悔いはないです」と、後輩にバトンを渡す決意をしたという。

 舞台へ真摯(しんし)に向き合う姿と、下級生にも分け隔てなく接する人間性から、組子の信望も厚く、退団を報告すると「みんな泣いて、温かく受け入れてくれました。私も泣きましたけど」と明かした。

 今後は今月11日から東京宝塚劇場で「愛と革命の詩-アンドレア・シェニエ」「Mr.

 Swing!」(11月17日まで)に主演。12月4~5日は兵庫・宝塚ホテルで、同16~17日はパレスホテル東京でディナーショーを行う。退団公演となる「ラスト-」は兵庫・宝塚大劇場で来年2月7日~同3月17日、東京宝塚劇場は4月10日~5月11日。退団後は未定。