麻薬取締法違反(使用)の罪で起訴された押尾学被告(31)と一緒に東京・六本木ヒルズ内のマンションにいて、遺体で見つかった知人女性(享年30)の三十五日法要が5日、故郷の岐阜県内で営まれた。女性の両親が取材に応じ「捜査が終了したとは聞いていない。警察を信じて待っています」と話した。謎が残るまま押尾被告は8月31日に保釈されたが、遺族は真相究明を強く望んでいる。押尾被告の初公判は10月23日に行われる。

 父親が「今日は事件のことなしで、娘をきちんと送ってあげたい」と望んだ女性の三十五日法要。親族約30人が出席し、故郷でひっそりと営まれた。女性が亡くなってから約1カ月。母親は「不明な部分の解明が進んでいない分、これまでが長いようにも感じます」と心境を淡々と明かした。

 事件は8月2日に起きた。女性は押尾被告と東京・六本木ヒルズのマンションで、一緒に合成麻薬MDMAの錠剤を飲んだことが原因で亡くなったとみられる。女性の異変に、押尾被告が慌てて呼んだ知人が119番通報するまで約3時間も経過。さらに、女性の携帯電話が同マンションの植え込みから発見されるなど不明な点が多いまま、押尾被告は8月31日に保釈された。母親は「薬物使用での保釈とは分かっています。ただ、本当のことを知りたいだけ。解明されていない部分を捜査で強く追及してほしい」と訴えた。

 両親によると、押尾被告本人からの電話や手紙などの連絡は「一切ないです」。逮捕当時の所属事務所エイベックスからも事件直後から今まで連絡やあいさつは1度もないという。

 捜査の進ちょく状況を確認するため、父親が時々、担当刑事に電話をかけているという。母親は「起訴や保釈といった節目には刑事さんから連絡がありますが、そのほかは何を聞いても『捜査中です。何も言えません』と。娘の携帯電話が植え込みで見つかったこともテレビで知りました。その件もやっぱり捜査中の3文字でした」と明かした。

 母親は慰謝料などを求める民事提訴については「はっきり考えていない」と話した。「捜査が終了したとは聞いていない。今は警察の捜査を信じて待っているだけです」。両親は、真実を強く望んでいる。

 [2009年9月6日9時19分

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