AKB48の公式ライバルとなる、新女性アイドルグループ乃木坂46が21日、誕生した。東京・乃木坂で最終選考会が行われ、全国からの応募数3万8934人から36人を選出。さらに、1期生暫定選抜メンバー16人と初代センターも、いきなり決まった。秋元康プロデューサーは「毎回の公演でファン投票を実施して、選抜とセンターを決める」と、仰天計画を明かした。

 秋元氏の言葉に会場がどよめいた。「乃木坂46では毎公演が選抜総選挙です」。アイドルグループ内に序列を築く前代未聞のAKB48選抜総選挙を企画した仕掛け人が、さらに刺激的なプランを明言した。

 AKBと乃木坂46の違いは、専用劇場を持たない点だ。自由さを生かして、全国のホールを回り「2部構成の物語仕立ての公演にする。毎回観客にショー前半の後の休憩時間に、携帯電話で人気投票してもらう。その結果で、後半の立ち位置を変更する」。ファンの声が届くアイドルというAKBのコンセプトを、さらに進化させた形だ。

 その方向性は、早速最終選考会で示された。4回の審査を通った56人の中から36人が合格。ただし、そこで終わらない。引き続き16人の暫定選抜メンバーを発表して、並び順まで指定した。秋元氏は「AKB発足時はセンターなんて概念はなかったのに、今回は応募者が皆『センターを目指す』と言う。そんなに意識するならと、最初から全員の立ち位置を決めてみた」。厳しい現実を突きつけられて、合格の喜びから一転、表情を曇らせる子もいた。

 センターには、熊本弁でたどたどしく話す小柄な少女、吉本彩華(15)が選ばれた。「6年前の前田敦子そっくりの良い子(生田絵梨花=14)もいた。でも、それだとAKBのマネです。一番未知数で伸びしろのありそうな、どうなるか分からない吉本にしてみた。少し暗い感じにも興味が湧くね」。前田やSKE48松井珠理奈とはまったく違うタイプの子だった。

 アイドルになる夢をかなえたばかりの吉本は「うれしいという言葉しかありません」と感激する。ただし、この先に待つのは、毎日が人気投票の過酷な競争社会だ。その厳しさで、短期間で魅力が磨かれれば「AKB48が5年かかった頂点にまで、半年、1年で追いつく」という、乃木坂46の大目標も夢ではない。平均年齢16歳の美少女たちの、壮大な挑戦が始まった。