<第62回NHK紅白歌合戦>◇31日◇NHKホール

 メドレー最後の「Everyday,カチューシャ」を歌い終わったAKBグループ総勢210人が、階段状になったステージ上を動き、あちこちにグループを作ってしゃがみ込んだ。中央に位置したリーダー高橋みなみ(20)が「せ~の!」と掛け声を上げ、210人が声をそろえて叫んだ。「がんばろう!

 日本!」。しゃがんだまま前にいるメンバーの肩に両手を伸ばして、「がんばろう

 日本!!」の人文字を作った。会場内から拍手がわき起こった。

 

 AKB48は前日30日に日本レコード大賞を受賞。感激で号泣した。一夜明けたこの日の本番前、控室となったNHKのスタジオに高橋の声が響いた。声の向かう先は210人の巨大な円陣だった。「日本レコード大賞はAKB48グループみんなでつかんだ賞。ファンの皆さんの応援があって、私たちは今、ここにいる。紅白では、感謝の気持ちを込め、恩返しのパフォーマンスを披露しましょう」。呼び掛けは続く。「このメンバーで集まるのは、これが最後。春にはSDN48のメンバーが卒業されます。最後まで気を抜かないで、全力で頑張りましょう」。リーダーの気持ちに、メンバーは大きな声を上げて応えた。

 ステージは壮観だった。AKB48、SDN48、SKE48、HKT48、NMB48に加え、海外組のインドネシア・ジャカルタJKT48の一部メンバーも加わった巨大アイドル集団。今年の芸能界を席巻した勢いそのままに、広いステージはメンバーで埋め尽くされた。「風は吹いている」「フライングゲット」「Everyday,カチューシャ」を歌いつないだ。

 

 多忙を極めた年の活動を締めくくる紅白。メンバー全員は疲れも見せず、フル回転。出番は子どもたちも見られる午後7時35分から。前田敦子(20)が「少しでも皆さんに笑顔を届けられるように、来年も活動します」。高橋は「今年は切磋琢磨(せっさたくま)し合いながらより一層、絆が深まりました」。

 紅組勝利にはメンバーらは抱き合って大喜び。高橋は「7年ぶりの優勝に立ち会えるなんて本当に良かった。人文字は85点。あとの15点は来年に持ち越しです」。気持ちは早くも年末に向かっていた。【瀬津真也】