沖縄返還密約をめぐり元毎日新聞記者・西山太吉氏(80)が逮捕された事件小説が原作で、俳優本木雅弘(46)主演のTBS系ドラマ「運命の人」(日曜午後9時)に、読売新聞グループ本社の渡辺恒雄会長・主筆(85)が怒りをあらわにした。今日7日発売の「サンデー毎日」に寄稿し、人物設定の情報提供したとされる西山氏に「一言わびよ」と謝罪を要求している。

 劇中、自身をモデルにしているとみられる大森南朋が演じる「読日新聞記者・山部一雄」が、料亭で「田淵角造(田中角栄とみられる)」にペコペコしながらごちそうになったり、買収される「たかり記者」と描かれていると批判している。「モデルと実在人物が特定できるように描かれ、この疑似フィクションドラマで著しく名誉を傷つけられた」と訴えている。モデル人物の名誉毀損(きそん)にあたる過去の判例も挙げている。また、怒りの矛先は、西山氏の間違った情報をもとに人物設定した原作者の山崎豊子氏にも及んでいる。

 突然の“場外騒動”にTBSも困惑。「コメントする立場ではない」として静観の構えだ。

 ◆日曜劇場「運命の人」

 原作は09年に発表された山崎豊子氏の同名小説で、約40年前に実際に起こった「沖縄返還密約事件」を基にしている。本木雅弘演じる主人公、弓成亮太(西山太吉)の勤務先が毎朝新聞(毎日新聞)とされているほか、ライバル記者に読日新聞(読売新聞)山部一雄(渡辺恒雄)。そのほか、総理大臣佐橋慶作(佐藤栄作)自由党の福出赳雄(福田赳夫)小平正良(大平正芳)田淵角造(田中角栄)曽根川靖弘(中曽根康弘)など実在の人物に類似した名前が使用されている。ただ、原作もドラマもフィクションで、カッコ内の人物はあくまでもモデルとして推測される人物。