27日に東京・国立劇場の舞台セリから3メートル下に転落した歌舞伎俳優市川染五郎(39)が右側頭部および右半身の打撲と診断されたことが28日、分かった。父松本幸四郎(70)も「思ったほどけがが重くなく、ほっとしております」とコメントした。落ちた原因は染五郎が足を踏み外したためとみられる。劇場の奈落は最大10メートル下にあり、セリも3メートル、6メートル、10メートルの3段階で上下する。今回はセリが3メートルで止まっていたが、6メートル、10メートルだった場合、大事故の可能性もあった。

 27日午後6時37分ごろに転落した染五郎のけがの状況は、約8時間後の28日午前2時半ごろ、松竹を通じてファクスで各マスコミに発表された。それによると、「右側頭部および右半身の打撲」と診断された。脳挫傷、脊髄(せきずい)損傷、骨折など心配された症状はないという。同じ書面で父松本幸四郎も「皆様には大変ご心配をおかけ致しまして、誠に申し訳ございません。思ったほどけがが重くなく、ほっとしております」とコメントをした。

 染五郎は都内の大学病院で絶対安静の状態で検査、治療を受けている。首を固定して体も動かせないが、意識はしっかりしており、話はできるという。園子夫人が付き添っている。自宅で待機する幸四郎宅には取材陣が詰め掛けたが、幸四郎は姿をみせず、市川猿翁から見舞い花が届いた。この日は染五郎が家元を務める日舞松本流の舞踊公演が昼夜あり、幸四郎、染五郎、姉の松本紀保、妹の松たか子ら幸四郎一家が総出演の予定だったが、公演は延期となった。

 事故は染五郎の半生を踊りにした「傾奇おどり・あーちゃん」を踊っている途中で起こった。「勧進帳に出会う」という場面で、共演する尾上菊之丞がセリで下がり、染五郎が「飛び六法」で勢いをつけるために体をのけぞらした時にバランスを崩したか、後退しすぎて誤って足を踏み外し、ポッカリ空いていたセリから3メートル下の奈落に後ろ向きで転落したとみられる。染五郎はセリが下りていたことは認識していたという。

 国立劇場の奈落は最大10メートル下にあり、セリも3メートル、6メートル、10メートルの3段階で上下するという。今回は落ちたセリは3メートルで止まっており、板張りということもあって、転落した染五郎の衝撃も緩和されたという。もし、セリが6メートル、10メートルも下だった場合、生死にかかわる大きな事故になった可能性があった。9月の演舞場公演は休演するが、出演を予定する10月の演舞場公演、11月の国立劇場公演については回復の状況を見て決めるという。