【ロサンゼルス19日(日本時間20日)=千歳香奈子通信員】英人気コメディードラマ「Mr.ビーン」で知られる俳優ローワン・アトキンソン(57)が「Mr.ビーンから引退する」と宣言した。英紙デーリーテレグラフに語った。その理由を「商業的には成功したが、50代の人間がこういった子供じみたことをやるのが悲しくなってきた」と説明。さらに「年々あまりやりたいと思わなくなってきた。今後はシリアスな役をやっていきたい」と話している。

 「Mr.ビーン」シリーズは、90年から5年間放送された。自己中心的な男が巻き起こす騒動を描く喜劇で、アトキンソンのコミカルな表情や動作が人気を呼んだ。日本を含む世界94カ国でも放送され、「現代のチャプリン」の異名をとるまでになった。その後も「ビーン」「Mr.ビーン

 カンヌで大迷惑!?」と映画も製作され、07年にはテレビで新作ドラマも放送された。世界的な人気者になり、日本にも数回来日、日産自動車のCMにはMr.ビーンのキャラクターで出演した。今年夏のロンドン五輪開幕式では「Mr.ビーン」としてロンドン交響楽団と一緒に演奏して会場を沸かせたばかりだった。

 実はアトキンソンは「Mr.ビーン」だけで評価されることに抵抗を持っていた。98年には、キャラクターだけが独り歩きしてしまったことへの反発もあって俳優業を一時休養。最近は主演コメディー映画「ジョニー・イングリッシュ」シリーズがヒットするなど、「Mr.ビーン」のイメージからの脱却に成功している。“引退”を宣言しても俳優として十分やっていけると判断したようだ。

 ◆ローワン・アトキンソン

 1955年1月6日、英国生まれ。大学卒業後に喜劇俳優の道に。83年「ネバーセイ・ネバーアゲイン」などの映画に出演。90年から放送された「Mr.ビーン」で一躍人気者に。映画は03年「ラブ・アクチュアリー」などに出演。90年に結婚して2人の子どもをもうけた。血液型O