女優坂口良子さんが27日午前3時40分に横行結腸がん(大腸がん)による肺炎のため、死去した。57歳だった。29日に夫でプロゴルファーの尾崎健夫(59)と長女でタレント坂口杏里(22)が連名でマスコミ各社に発表した。今月上旬、一部週刊誌が重病と報じ、坂口さんは12日付の自身のブログで、昨年腸閉塞(へいそく)を患い、インフルエンザから肺炎になったと説明していた。通夜、告別式は近親者だけで行われた。

 突然の訃報だった。尾崎と長女でタレントの坂口杏里は29日午後、「かねてより病気療養中(横行結腸がんならびに肺炎)でしたが、平成25年3月27日午前3時40分永眠いたしました」とマスコミ各社にファクスで送信した書面で、坂口さんが天国に旅立ったことを報告。コメントも発表した。「これから家族全員、力をあわせて、皆さまのご厚情を賜りながら頑張ってまいります。今後とも、なにとぞ、ご指導鞭撻(べんたつ)のほどよろしくお願い申し上げます」。

 12日発売の「週刊女性」は、坂口さんが消化器系の疾患で、11年夏ごろから通院し、先月末に入院したと報じた。目撃証言などから、体重も10キロ以上も減っていたとも伝えた。

 この報道を受け、坂口さんは同日付の公式ブログで「昨年、腸閉塞を患い、それとほぼ同時期にインフルエンザから肺炎になってしまったりと、体調を少し崩しておりました」と発表。その上で「現在は、栄養を補給するため、点滴などの治療をしながら、ゆっくりと静養しております。今後とも皆様に喜んで頂けるようなお仕事をして参る所存でございますので、応援よろしくお願いいたします」と、仕事復帰への意欲を記していた。テレビ関係者によると、3月上旬の段階では、同月18日収録の日本テレビ系「踊るさんま御殿」の出演もブッキングされていたという。

 坂口さんは98年ごろから交際をスタートし、事実婚状態だった尾崎と昨年8月に再婚したばかりだった。結婚後も仕事を続けていたが、腸を1メートル切除する手術を受けた。ある関係者は「腸閉塞の手術で、術後は便秘症だけど、経過は順調で、ほぼ完治していたとも聞いていました」と話している。今年1月には、プロゴルファーの夫を支えるために所属事務所をやめたというが、尾崎は12月以降の仕事を減らしており、親しいイベント関係者には「妻を看病したいから」と心情を話していた。

 坂口さんは71年の日本テレビ系「さぼてんとマシュマロ」でドラマデビューし、72年フジテレビ系「アイちゃんが行く!」で初主演を務めた。その後、80年の日本テレビ系「池中玄太80キロ」など多くの人気ドラマで活躍した。11年9月の特別ドラマ「渡る世間は鬼ばかり

 最終回スペシャル」、12年9月の「渡る世間は鬼ばかり

 ただいま!!2週連続スペシャル」に出演。同12月には、長女杏里と関西テレビ「雨上がり食楽部」で母娘共演をしていた。

 ◆坂口良子(さかぐち・りょうこ)1955年(昭30)10月23日、北海道余市町生まれ。71年にミス・セブンティーンコンテストで優勝。翌72年にアイドル歌手としてデビュー。73年にTBS系ドラマ「サインはV」に出演して人気に。80年の日本テレビ系ドラマ「池中玄太80キロ」で記者役を演じた。86年に不動産会社経営者と結婚したが、94年離婚。12年8月にプロゴルファー尾崎健夫と再婚した。前夫の間に長男(23)と長女杏里。

 ◆横行結腸(おうこうけっちょう)がん

 大腸の大部分を占める結腸のうち、体内の右から左へと続く部分で長さは約50センチ。大腸がんは進行をステージで表し、固有筋層まで進行したステージ2、リンパ節に転移したステージ3でも生存率は6割以上と、がんの中でも比較的、治療しやすいとされる。ただ、肝臓、肺など他の臓器に転移したステージ4まで進行すると5年、8年とも生存率は15%と急落。日本でも食事の欧米化が進み、動物性脂肪の摂取が増えたことで大腸がんが増加。がんの死因では、肺がん、胃がんに続く3位。